第二章 第一の断罪
「皆さんおはようございます!!お越し頂きありがとうございます!」
小野寺の大きな声でパーティーは始まった。
「最初はこの方!天国ビルの設計をした三森誠さん!!」
大きな拍手と共に三森がステージに上がってきた。
「おはようございます、いい天気ですね……」
何を話すのか決めていなかったのか、周りを見ている、沈黙が続いていた時、桐生が言った。
「何話すかぐらい決めとけよ、天国ビル設計の話すればいいじゃん、もしかしてホントは設計してないとか笑」
「ふざけるな!!」
声が小さくいつも敬語であった三森が急に怒鳴ったことで会場は静まり返った。
この静寂をどうにかしようと小野寺ゴホンと咳をし話し始めた。
「つ、次に行きましょうか、ビルの設計を手伝った夏越宗介さん!」
さっきよりかは小さい拍手で夏越がステージに上がってきた。
「おはようございます。先ほどは失礼を」
三森はステージの端で俯いている。
「桐生貴様も謝らないか!皆に失礼をしたんだぞ」
桐生を指差す桐生はため息をしながらステージに上がった。
「俺がいなかったら天国ビルは完成しなかったんだぞ!!てか社長は何処だよ、ちょっと話ししたいんだけど」
「お、落ち着いてください。西園寺さん合図」
西園寺は頷きスマホで何かをしている、そして小野寺方を見グッドサインを送った。
「それでは見てください!窓の外を!!」
皆が外を見た時上から窓清掃などで使うゴンドラに乗りながら矢久保が降りてきた。
「正一くん!」
「サプラーイズ!でも外から中に声が届かないので電話でお話しします!」
西園寺の電話をマイクに近づかせ小野寺が「OKです」と言ったら矢久保が喋り始めた。
「皆さん本当にお集まりいただきありがとうございます。こうして天国ビルが建てられたのはここにいるの皆様のおかげです。」
「チッ何がサプライズだちょっとこっち来い!!」
桐生が大声を上げ電話を取った。
「なんだこれ全然面白くねぇ!てか三森が!」
矢久保に何か言われたのか、桐生は電話を投げ捨て顔を真っ赤にし会場から去って行った。
「あっ待ってください桐生様」
桐生を追いかけ如月も会場から出た。
「クソ最悪!私の携帯!」
西園寺は自分のスマホを手に取り、傷がないか確認し、再びマイクの前に置いた。
「本当にすまない、桐生には後で謝らせます。」
会場は完全に静まり返っていた。そんな雰囲気が嫌だった矢久保はジョークを言った
「今日は飲み放題です!ただし、会社の経費は出ませんので、皆さん財布の準備を…冗談です、安心してください!」
ジョークのおかげで会場が笑いに包まれた。
「それでは乾杯にしよう皆様グラスを持って!」
皆がグラスを持ち高く上げ乾杯の合図を待っていた。
「美波!お前もグラス持て!」
美波は俯いている。父親の声を無視し会場を出た。
「こんな時に」
「まぁいいじゃないか、それでは気を取り直してかんぱー…ん?なんだ?お、おい!おかしいぞこれなんだ!」
ガタン!
「うああああぁぁぁ!!!!!」
矢久保がゴンドラから真下に落ちてしまった。
会場の皆は何が起こったのか理解ができず固まってしまう
「せ、正一くん!!!」
赤平は慌てて窓に走った。たがもうそこには矢久保はいなかった。
「お、おいさすがにこれはないぞ、流石に面白くないぞ!!」
夏越は小野寺の首をつかむ。
「違います!私こんなの知りません、こんなの!!」
如月が走ってこの会場に戻ってきた、息を切らしながら言った。
「しゃ、社長が上から落ちて、亡くなって、何があったのですか!」
会場は呆然した。そんな中黒田の父親が話した
「は?亡くなった?本当に?とりあえず警察呼べ!」
如月は自分の携帯で電話をかけた時ビル全体に放送が流れた
「「セキュリティに問題が発生しました。ビルの入り口を直ちにロックします。」」
「何が起こるんですか?」
「このビルのサーバーは色んな鍵が入っており少しでも怪しい事があったらセキュリティ装置が反応し色々ロックしちゃうんです」
「あー!もう訳わかんねぇそれ止めたほうがいいだろ、案内しろ」
夏越と如月はサーバールームに行った。会場に残っている人は不安で一杯だった
少ししたらドアがドンと空いた。
「サーバーが壊れちまってる!ドアが開かねぇ」
「あのそのサーバー壊れてても別に良くないですか?てか、それどころじゃないですよ!」
そう焦りながら西園寺が言うと夏越も焦りながら答えた。
「出れないんだよ!出口がロックされてるから!窓も全部だ!」
「ま、窓を割ればいい!」
「割れないんです。ここに使われてる硝子はまだ発売されていない超硬いやつなんです。超強化硝子なんです!」
「しかもな……嫌なんでもない。」
夏越は何かを言おうとしたがやめた
会場に居る皆が焦る、ここから出れない不安で一杯だった。だが朔之介だけは違う不安を抱いていた。
(あの美波って子乾杯前に出たよな大丈夫かな?あの桐生って人も外に出れてればいいけど、矢久保さんが落ちた時外を見たけど人みたいのいなかったんだよな。)
不安に包まれた会場から朔之介が出ようとした時扉がドンと叩かれ大きな声が響いた。
「何が起こってる!」
それはパーティーの途中矢久保と喧嘩をし会場を抜けた桐生だった。
「今まで何処にいたんだ!」
赤平が大声で聞く、普段温厚で優しい赤平の大声に驚きながら答える
「ちょっと腹立ってビル内をウロウロとそしたら――」
「あっ!!!!」
何かを思い出したのか夏越は慌てて会場を出た。
「夏越さん?」
「俺見てくるからよろしく」
父親は朔之介の肩を叩き出ていった。
「続きいいぞ」
赤平言う
「ウロウロしてたら迷っちまって、方向音痴なんだよ俺」
「本当に?」
赤平は桐生を鋭く睨む
「本当!」
その言葉を最後に沈黙が続く、目の前で矢久保が落ち亡くなり、自分たちはこのビルに閉じ込められる、今は目の前非日常の体験に怯えるしか無かった。
そんな時パトカーのサイレンが聞こえてきた。
「来た!」
皆は希望を取り戻し入り口に向かった。
警察は入り口が開かないことに気付いたのか硝子の入り口を割ろうといていた、一人の警察が危ないから下がってと言う合図をしていたので朔之介達は遠くから見守っていた。なかなか割れないガラスを見ていて如月の言葉を思い出す。
そう割れない皆の顔には希望がどんどんなくなっていく
「終わりだ終わりだーー」
三森は崩れ落ちる
「何か言ってませんか?」
外で警察が入り口を叩きながら何か喋っている。
「なんて?」
近づいた桐生が聞くが聞こえない
「聞こえないです。超強化硝子ですから」
如月の言葉にさらに絶望する。
「紙を使え」
父親と夏越そして美波が降りてきた。
(美波さん出れてなかったのか)
父親は紙に文字を書き会話をしていた。
「救出に数日かかるらしい」
「ふざけないでくださいよ!!」
三森が震えた声で言った。三森に続いて皆が文句を言っている中父親が耳打ちした。
「これは殺人事件だ」
「え?何か根拠でもあるのかよ。」
「矢久保さんの落ち方真下に落ちてったんだぞおかしいだろ」
「それだけでか?確かに違和感はあるけど最先端ビルだ、ただの事故の可能性だって」
「サーバーが誰かに壊されたんだ、エラーなんかじゃない人の手によって壊されていたんだ。」
朔之介は鳥肌が立った。閉じ込めるそれは殺したい相手が逃げないように。つまりこれは
「連続殺人」