第一章 天国ビルに行こう!
舞台は、人々から“天国ビル”と呼ばれた超高層建築。その名とは裏腹に、そこでは惨劇が幕を開けることとなった。
登場人物
黒田 朔之介
この作品の主人公
黒田 剛
朔之介の父親
赤平 茂
黒田武の上司、矢久保正一と友達
夏越 美波
朔之介と同じクラスのお嬢様
夏越 宗介
夏越美波の父親、天国ビルの製作を手伝った
矢久保 正一
天国ビルの社長
如月 玲奈
矢久保正一の秘書
三森 誠
天国ビルの設計者
小野寺 勇仁
パーティーの司会進行
西園寺 琴音
小野寺勇仁と同じく司会進行
桐生 士郎
天国ビルの財務担当
プロローグ
天国ビルそれは、東京の中心にある高層ビル、その中はガラス張りで東京全体を見渡せる。外からは外の色を映し出す、真っ青な空、夕方にはオレンジ色に輝いた空、夜には空の星と地上の電気で彩られる。
そんな天国ビルに奇妙な噂があった
――硝子の死神がいる
硝子の死神は夜に現れると言いその姿を見たものはおかしくなりやがて死んでしまうと言う
だがそれは建設に不満を持った社員が言った嘘話他にも不満を持った社員達が建設中止を願い本当にあった話っぽく言っただけだった
とある夜、一人の社員が、忘れ物を取りに戻った、その社員はふと硝子を見たそこには……
そして朝その社員は地面に強く打ち付けられた死体が、発見された。顔は苦しんでおり、掻きむしった跡がある。この事件は自殺として片付けられたが、不可解な点が沢山ある、
一つ目は、自殺する理由がないこと、社員は亡くなる前、彼女とのデートを、予定していたり会社では昇進が決まっていた人が自殺をするだろうか?
二つ目は謎の傷跡、それは背中首から真っ直ぐに爪で引っ掻いた跡があった、あの日の天国ビルには、自殺した社員以外に誰かいたのだろうか?
三つ目は何処から飛び降りたのか、屋上に行く扉には鍵が掛かっていたこと、ビル全体のガラスにはヒビ一つ付いていなかったこと。
彼はどこから飛び降りたのだろう
あの日の夜天国ビルで何が起こったのだろう
一人が言った
「が、硝子の死神だ!」
天国ビルに行こう
「天国ビル!最近できた!行きたいよな?な?」
と助けを求める目で言った
「いや別にいき」
言葉を遮り言った
「行こう!そうしよう!」
父親はスマホを朔之介顔面に押し付ける
「天国ビルってのはなー」
どうしても朔之介について来て欲しいのか天国ビルの良さを語る
朔之介は顔面にあるスマホを払い除け言った
「また僕を上司に売るつもりだろ!行くわけない!」
朔之介は父親の上司に異常なほど好かれている、父親はそれを利用して、上司のつまらない話を回避しようとしているのだ
「そこをを何とかホントにホントにホントにホントにおねがーい」
目を潤ませながらこっちを見る
「あっお金?お金あげるよ?」
お金で釣ろうとしてる父親をゴミをみるような目をしながら、朔之介は自分の部屋へ戻ろうとした
「そうだ!欲しいって言ってたクママン買ってやるから。」
その言葉に朔之介は止まり振り返った。
「行く。」
クママンとはアニメのキャラクター朔之介はクママンが大好き
父親の顔はどんどん明るくなり朔之介を抱きつき朔之介は苦しそうな顔をしている。
「お父さんは嬉しいぞ。」
ぎゅっと朔之介を締める、朔之介は顔色がどんどん青くなる。
「し、死ぬ、バカ!」
父親を跳ね飛ばし、ぺっとつばを吐き、朔之介は部屋へと帰った
当日、車で父親の好きな洋楽を、聴きながら天国ビルへと向かう、父親は満面の笑みで鼻歌を歌いながら運転をしている。そんな父親に朔之介は、嫌な顔をしながら言う。
「うるさいなー眠いんだよ、なんでこんな、朝早く行かなきゃいけないの?」
眠い目を擦りながら言う
「色々準備があるからな」
「でも、始まるのは十時だろ?六時に行く必要はないだろ」
「上司に聞け」
父親は嫌そうに言った。
天国ビルの駐車場に車を止めた朔之介達は荷物を持ち天国ビルに入ろうとした時、後ろから話しかけられた。
「黒田くん!!」
「赤平さんおはようございます。」
「おはようございます。」
朔之介は父親に次ぎ挨拶をした。
「いやー朝早くご苦労!作之助くんもね」
と言い肩を強く叩く
「あはは」
「準備があるからね、じゃあね」
父親の目からは光が消え疲れ切っていた。
「じゃ、俺も準備あるからパーティーまでゆっくりしてろ。」
一人になった朔之介は天国ビルの近くを散歩することにした。
見つけたゲーム屋に気を取られていると人とぶつけてしまった
「わっ!ご、ゴメンね。」
「ちょっとちゃんと前見てよ。マジでめんどい」
「すみません、前見てませんでした。」
落ちたものを拾おうと手を伸ばした。
「いいよ、こっちが悪いから、チッ早くしろよ」
「あははーほんとにゴメンね、あれ?君天国ビルのパーティーに参加するのかい?」
朔之介の胸にあるネームプレートを見て言った。
「はい、父親の仕事で」
「そうなんだ!僕の名前は小野寺勇仁!パーティーの司会進行やるから楽しみにしといて!」
「はぁ~あっ一応名乗っとくわ西園寺琴音お父さんによろしく言っといて。」
西園寺は小野寺にグチグチ言いながら去って行った。
天国ビル周りを散歩し終えた朔之介は車で休憩しようと父親のもとに向かっている最中目の前を高級車が通った
「うぉすげぇー」
気になった朔之介は隠れながら高級車を見ていた、そしたら中から人が降りてきて何か話し始めた。
「矢久保様今日の予定は午前十時に始まり十時半に」
「バカか!こんなとこで話して聞かれたらどうする?」
「す、すみません」
「まぁまぁそんな強く言わなくても正一さん」
「わかってないなー三村は、バレたら殺されるかもなんだぞ」
「宗介さん大袈裟じゃないですか??」
「バカ言え正一は恨みを買ってんだよ、いつ殺させてもおかしくねぇ。」
「そうですか、桐生さん」
「わかったな!如月!」
「は、はい」
大きな怒鳴り声と共に天国ビルへと入っていった。
高級車をもう少し近くで見ようと物陰から出た。
「?あの子」
高級車の近くに同い年位女の子がいる下を向き何処かさみしげな雰囲気をしている。朔之介はその女の子に話しかけてをることにした。
「あのーきみもパーティーに参加するんだ。ネームプレート見ればわかるよ!」
女の子を元気付けようとできるだけ明るく話した。
「……」
「僕の名前は黒田朔之介!君は?」
「……夏越美波」
「いい名前だね!」
返事が返ってきたことに喜び少し声が大きくなってしまった。夏越は少し朔之介見て去って行った。
「やってしまった……」
「パーティー始まるぞ」
朔之介は父親の声に振り向き天国ビルに入っていった。