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僕は、ちょっと変わっている。

僕は、ちょっと変わっている。

これは、ちょっと変わっている僕のお話。

 僕は、ちょっと変わっている。空気が読めない、って言われる。おもしろくない、って言われる。僕が考えていることが、全然伝わらないことがある。相手が言っていることが、全然理解できないことがある。だから、いつもちょっと変な雰囲気になって、ちょっと気まずくなる。それから、笑って、何事もなかったように流すけど、それが、ちょっと、苦しかったりする。

 これは、ちょっと変わっている、そんな僕の、お話。

 僕は、ちょっと記憶力がいい。自分で言うのもなんだけど、事実なんだから、仕方がない。僕は、ケンキョな人間が嫌い。そんな僕は、ケンキョという言葉を漢字で書けない。ちょっと吃驚。ビックリ、という言葉は書けるのに、ケンキョって書けない。ちょっと不思議。どうでもいいけど。

 僕は、国語が得意。数学科や、英語科は、興味はあるけど、考えたり覚えたりするのが苦手みたい。理科や社会科は普通に好き。でも、どの教科も同じくらい好きなのに、差が出てくる。ちょっと不思議。どうでもいいけど。

 僕は、勉強が嫌い。授業を聴くのは好きだけど、何かを強制されるのが嫌い。知らないことを知ることができるのは、楽しい。作文とかも好きなんだけど、発表するのは苦手。文章だったらいくらでも書ける。なのに、言葉を全然紡げない。ちょっと不思議。どうでもいいけど。

 僕は、文章を書くのが好き。スピーチなんてできないけど、書くだけ、ってのが気楽で好き。そのとき自分が思ったことを全部全部書き連ねて、後から読み返すと、一切訳がわからない。そんな文章を数え切れないくらい、書いた。でも、読書感想文だけは書けない。あれは本好きが書いちゃいけない。僕だけかもしれないけど、小説ってのは、作者の感情の塊なんだから、先入観なしで読むべきだと思う。なのにあらすじを書かせるなんて、ちょっと不思議。どうでもいいけど。

 僕は、小説や漫画が好き。論説文は苦手だけど、物語は、いつも、僕を知らない世界に連れていってくれるから好き。ふとした瞬間笑える、読んだら幸せになれる、あるいは後味の悪さが残る、そんな風に、僕の人生を豊かにしてくれる。一瞬で物語に引き込んでくれる、そんな文章を書ける作家さんを、僕は心の底から尊敬している。僕は、どうしてそんな文章を書けるのかが、ちょっと不思議。どうでもいいけど。

 僕は、ちょっと変わっている。だって、僕と「おんなじ!」って言える人、いる?ちょっと記憶力がよくて、英語科が苦手で、授業が好きで、勉強が嫌いで、作文が好きで、読書感想文が嫌いで、物語が好きで、論説文が嫌いで、空気が読めなくて、おもしろくなくて、会話がかみ合わないことがある。こんな人、他にいるのかな。きっとあんまりいない。だから、僕は、ちょっと変わっている。他の人と、ちょっと違う。

 僕は、そんな僕が大嫌いだった。皆と一緒がよかった。僕は沢山頑張った。頑張ったら、ちょっとだけ、わかった。僕は、皆と一緒になれない。僕は僕。皆は皆だった。でも、もうちょっとだけ、わかった。

 僕は、僕だった。僕は、皆と違ったけど、例えば彼は、彼だった。彼女は、彼女だった。あの子はあの子だし、その子は、その子は、その子だった。僕は、皆とちょっと違うし、皆は、僕とちょっと違う。でも、皆は、皆でちょっと違っていた。

 僕は、ちょっと変わっている。皆も、ちょっと変わっている。だから、皆と同じって人は、ちょっと変わっているってこと。ちょっと変わっているってのは、当たり前のことで、普通の人、っていうのは、ちょっと変わっている人のこと。ちょっと不思議。どうでもいいけど。そう思えるくらい、この考え方が、当たり前になればいい。

 僕は、ちょっと変わっている。これは、どうでもいいことで、でも、そう思えない人は、自分以外を排除する。

 これは、ちょっとどうでもよくない。

 ただ、それだけのお話。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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