夜の詩【詩】
物言わぬ言葉の海に
私を沈めるのは あの人
からだと同じほどぬるまった水の中では
小波さえきこえない
水分子のひとつひとつが言葉
この海は言葉の墓場
あるいは卵巣
私の吐く息 ひとつひとつが
泡になってのぼってゆく
めざめる
よみがえる
あの人の耳もとで
ゆらゆらめく薄明かりのもと
言葉はまるで亡霊のよう
私はあの人の手を握ったまま
ただ潮流に身をまかすだけ
そして詩を紡ぎ続ける
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昔の詩です。