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第5話 犯行時間のアリバイの確認

撮影所の会議室には、関係者全員が呼び集められていた。

壁際には警官たちが立ち、冷たい緊張が空気を支配している。


カズヤは淡々と声を張った。

「監督が殺害された時刻、午後9時15分から30分。この間に全員の居場所を確認させてもらう」


すでにアーノルドは逮捕され、事件は表向き解決したかに見えていた。

だが、スタジオの重苦しい沈黙は、その“終幕”を誰も信じていないことを物語っていた。


アリバイの確認


ジェシカ

 控室で台本を読んでいたと主張するが、目撃者はなし。

 アーノルド逮捕に安堵しているようにも、不自然に焦っているようにも見えた。


トーマス

 資金提供者と電話中。通話履歴は残っているが、時間の一部が空白。


ヘレン

衣装室にこもっていたと供述。しかしマスクの布片が現場に残っていた事実が、彼女の関与を否応なく連想させる。


サム

倉庫で作業。だが凶器に該当する記録は存在せず、曖昧な点が多い。


ロバート

夜間に自由にセットを移動できる立場。だが「監督の元には近づいていない」と断言。


リサ(ファン)

仲間と駐車場にいたというが、供述は食い違いが多い。模倣犯の疑いは依然残る。


マーク

「部屋で台本を読み返していた」と語るが、証拠も証言もない。

空気はさらに張り詰めていく。


カズヤは全員のアリバイを聞き終えると、長い沈黙を置いた。

張り詰めた空気の中で、誰もが息を呑んでいる。


「……アリバイの隙間が、いくつも見えるな」

そう言って彼は立ち上がり、机に置かれた現場資料をまとめた。


アイゼンハワードも静かにうなずく。

「現場は語る。人間は嘘をつけても、痕跡は嘘をつけないからな」


スタジオに重苦しい沈黙が落ちる。

アーノルドが逮捕され、事件は幕を閉じたはずだった。だが、カズヤの一言で全員が悟る。


事件は、まだ何も終わっていない。


薄暗い廊下を歩き出すカズヤの背中を、スタジオ関係者たちは険しい表情で見送った。その瞳には、恐怖とも怒りともつかぬ光が宿っていた。


登場人物一覧(スタジオ関係者)

◆俳優陣

アノールド

 人気俳優。「仮面の忍者剣伝 ケン」で正義のヒーローを演じる看板スター。表向きは無邪気でファンを魅了するが、その裏の素顔は誰も知らない。


ジェシカ

 ヒロイン役の女優。アノールドとの関係は親密にも見えるが、裏では不仲説も絶えない。嫉妬心や野心を抱いている。


マーク

 ライバル役の若手俳優。役柄の影響で「第二のスター」と持ち上げられているが、本人はプレッシャーに苛まれている。


◆製作スタッフ

トーマス

 映画プロデューサー。資金繰りに苦しんでおり、撮影中断は死活問題。事件を早期解決しようと焦っている。


ウィリアム監督(犠牲者)

 撮影の総指揮を執っていた人物。アノールドと意見が対立することも多かった。殺害現場には「ケンのマスクの切れ端」が残される。


ヘレン

 衣装担当。ケンのマスクや衣装を一から仕立てた。繊維や布の扱いに詳しく、彼女の手を通さずに衣装を改ざんすることは困難。


サム

 小道具係。倉庫の管理や舞台用武器を作る職人でもある。だが事件現場に似た凶器の記録は存在しない。


ロバート

 スタントコーディネーター。アクションシーンの動線を熟知しており、照明やカメラの死角も把握している。夜間にセットを自由に歩ける数少ない人物。


◆ファンクラブ・外部関係者


リサ

 アノールドの熱狂的ファン。撮影所に出入りすることもあり、時に暴走する行動が問題視されていた。模倣犯の疑惑をかけられるが、証拠不十分。


ジョージ

 ファンクラブ幹部。モズの犠牲者となる。木に磔のように串刺しされるという凄惨な手口で発見される。

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