第6話 海竜王 リヴァイアサンの出現
海底神殿の奥、広間を越えたその先。
突然、視界が開けた。
目の前に広がるのは
広大な光なき海底湖だった。
天井も壁も見えない。周囲は闇に沈み、冷たい水の匂いだけが漂っている。
「ここに……いるのかな……?」
ミーナが言葉を発するや否や、湖面が不穏に波打ち始めた。
「……潮の流れが、おかしいです。……なにか、近づいてきてます……!」
シスターマリアが杖を構える。
その瞬間、**ゴオオオォォオッ!!**という地鳴りにも似た咆哮が、湖底から響き渡った。
湖面が砕けるように割れ、巨大な渦潮が形成されていく。
まるで海そのものがひとつの生き物のようにうねり、唸り声を上げている――!
ミーナが声を振り絞った。
「まちがいない……あれが……海竜王リヴァイアサン!!」
うず潮の中心から、巨大な影が姿を現す。
青黒い鱗。雷を帯びたヒレ。口元からは高圧の水蒸気が噴き上がる。
その目がパーティーを捉えた瞬間、世界が圧し潰されるような威圧感に包まれた。
「来るぞッ!!構えろ!!」
バルドルが盾を構えるが、その巨大さに思わず一歩後ずさる。
リヴァイアサンが唸り声をあげた。
そして、“深海咆哮”――
口内に雷光と蒸気が集まり、砲撃のようなブレスが放たれる!!
「うわあああああああッ!!!」
一撃で湖の縁が吹き飛び、柱が砕け、神殿が揺れる。
「くそっ、これが……“海を切り裂く”って言われたあの技か……!」
リスクが顔をしかめながら、震える杖を構える。
ミーナが叫ぶ。
「まともにくらったら、ひとたまりもない! だけど……水の流れは読める、私に任せて!」
勇者たちは、かつてない脅威に立ち向かう。
深海の王が牙をむいた。今ここに逃げ場など、どこにもない。
戦いの幕が、今、上がる。