第5話 古代の守護者オルドゥイン
神殿の最深部。高くそびえる巨大な門が、俺たちの行く手を遮っていた。
蒼い魔力が走るその扉に手を伸ばすと、突如、地の底から響くような機械音が鳴り響き、床が震える。
「……動力反応、確認。侵入者、識別シマシタ排除、開始」
ギギギ……ガキン!
音と共に現れたのは、古代の守護者オルドゥイン。
半分が青銅の巨体、もう半分が水晶のような透明な装甲。その内側には、謎の魔法文字が走る光の回路。
異様な重低音を放ちながら、その目が赤く光る。
名前:オルドゥイン
体力:9200
攻撃:3000
防御:2500
素早さ: 850
固有スキル 機械(状態異常スキル無効) 自己修復モード(AUTO)HPが30%以下になると自動発動。1ターンにつき最大HPの5%を回復(最大3ターンまで)
この世界でかつて高度な古代文明が創造した半自律型守護兵器。主神殿の最深部を守護するようプログラムされ、千年の時を超えても機能を保ち続けている。
「やばいぞ、これ……今までの魔物とはスケールが違う!」
勇者アルベルトが危険を感じた。
その瞬間、オルドゥインの胸部装甲が開き、無数の小型ドローンのような機械獣が飛び出してきた!
「迎撃プロトコル起動:古代レーザー・シャワー」
ドドドドドッ!!!
ビームの雨がフロアを焼き尽くす。勇者アルベルトは水鏡盾で庇い、シスターマリアが咄嗟に防御結界を展開。
「はっはっ……こいつ、遊びじゃないぞ! 本気で殺しにきてる!」
グレイスオマリーが叫ぶ。
オルドゥインが腕を広げ、巨大なブレードを展開した。
「掃討モード:斬撃連鎖――アーカイブ・エッジ」
ズババババ!!
空間そのものを裂くような斬撃が次々と放たれ、勇者パーティーは押し込まれる。
「まずい……! このままじゃ本当に全滅だ!」
水圧によって形作られた大蛇のような機械のアームがパーティーに襲いかかる。
勇者アルベルトの盾を吹き飛ばし、ミーナの歌を遮る幻覚が空間に漂う。
「くっ……見えるはずのない敵が……!?」
幻惑干渉によって混乱する勇者たち。
リスクの杖から放たれる雷撃も、古代語で刻まれた対魔障壁「レム=ザ・ウラノス」によって中和される。
「全然効かねぇ……マジで神の兵器ってやつかよ!」
戦況は不利だった。ミーナの歌も、シスターマリアの祈りも、届かない。
俺はイカズチの杖を懐から取り出した。
「……イカズチならばコアの回路に届く!」
コアへ向けて雷撃を一点集中。
「《サンダーブレイク》!!」
轟雷が神殿を貫く。
オルドゥインの装甲が一瞬、紫色に染まり、全身の回路が異音と共に明滅を始めた。
「識別、不能……制御系統、破損……自己防衛……モード……」
巨大な身体が揺れ、コアが赤く点滅する。
「自己修復不能。コア圧縮開始……最終防衛機構、作動……」
それはつまり自爆。
コアが赤く点滅し始めた。これは、自爆のカウントダウン。
「このままだと、神殿ごと吹き飛ぶぞッ!」
リスクの叫びに、誰もが息をのむ。
出口は遠い。誰も逃げ切れない。
「……なら、止めるしかないだろ」
その声に振り返ると、バルドルが一歩、また一歩とオルドゥインに向かって歩き出していた。
「バルドル、無理だ! 行くなっ!!」
誰かが叫ぶ。だが、彼は止まらなかった。
「俺の身体は、斧より硬いってよく言われてた。じゃあ、それで試してみるさ」
全身から放たれる魔力をまとい、バルドルは怒涛の突進を始める。
「うおおおおおおおおおお!!!!!」
渾身の雄叫びとともに、バルドルは巨大な鋼の守護者の胸
赤く明滅するコアめがけて突き刺さるように突進した。
ゴガアアアアアアアン――!!!
オルドゥインの身体がのけぞる。魔力の暴走が収束しはじめ、
全身の装甲が音を立てて崩れ始める。
「……動力遮断。コア……抑制……完了。自爆モード……停止……」
その言葉と同時に、静寂が訪れた。
バルドルは爆風で壁に埋まっていた。
だが、かろうじて息がある。
「……やったな、バルドル……!」
リスクが駆け寄り、ミーナは涙をこらえながら治癒魔法をかける。
「おい……バルドル、聞こえるか……? 次はお前の番だぞ……歌えよな……!」
リスクの冗談に、バルドルの唇が微かに笑った。
オルドゥインの機械は、静かに光の粒子となり、神殿の床へ吸い込まれていった。
それはまるで守護者としての務めを果たした満足のように。
パーティー全員のレベルが1上がった。
次に待つのは、海竜王リヴァイアサン。
海底神殿に奥には巨大な海底湖が出現した。