第8話 女王の力
―――――――――
名前:セレナ=ヴェル=ノア(白魔術師)
レベル:80
体力:9999
攻撃:340
防御:790
素早さ:999
魔力:3400
賢さ:999
運:180
この世界で神秘なる海王の支配者であり、究極の水属性魔法を操る人魚女王。
固有スキル 人魚 水属性無効
―――――――――
「私が手に入らないものは、存在しない。」
セレナの瞳が妖しく光り、水面から音もなく舞い上がった。
「さあ、沈みなさい──
水よ、氷の杭となり、天より降り注げ……!」
セレナが高らかに詠唱する。
「◆アクア・アポカリプス──!!◇」
ドドドドドドドドドドッ!!!
天を突く水柱が地響きを立て、空を引き裂くように氷の杭が雨のように降り注ぐ!
「やばいっ!!避けろ!!」
「この規模……ッ、回避不能ッ!!」
「マリアーーッ!!回復を急げ!!」
マグマさえ凍りつかせる水圧が、パーティーを押し潰す!
「がああっ……!!」
「つめ……冷たい……ってレベルじゃねぇ……ッ!」
「腕が……動かない……!?」
《追加効果発動》
パーティメンバーが【沈黙】【凍結】状態に陥る!
「くっ……!声が出ない……!?」
「マリアの詠唱が止まった!?」
「だめだ……このままじゃ……!」
その時──
「待たせたなッ!!」
爆風を割って現れる影!
「──グレイス!!」
火縄銃を背負い、両手に爆弾を構える女傭兵・グレイスが吠える!
「女王だろうが海の女神だろうが関係ねぇ!!
爆発すりゃ、ただの魚の骨よォォ!!」
バン! バンバンバンッ!!
火花を上げて炸裂する爆薬がセレナに向かって飛ぶ!
「ふふ……面白い女……だが甘い。」
セレナが指を鳴らした瞬間──
◆マーメイド・ミラージュ◆
水泡が弾け、3体の分身体が出現!
「えっ!? な、なんで3人いるのよッ!?」
「くそっ……どれが本物だ!?」
「我が分身も、滅びの旋律を紡げるのよ……
◇ソング・オブ・ドゥーム(滅びの歌)◇」
美しくも恐ろしい旋律が、水中に響き渡る。
「──ッ……ぁ……!」
「う、歌が……頭に……響く……ッ!!」
「耳が裂ける……心が砕ける……ッ!!」
シスターマリアの膝が崩れる。
黒魔術師のマーリンの杖が落ちる。
勇者アルベルトが剣を手放す。
《デバフ効果》
命中率大幅ダウン/回避不可/魔法防御激減!
「やめろ……こんな音、聞きたくない……!」
「精神が持たねぇ……!!」
だがセレナは止まらない。
「ようこそ、神々の領域へ──」
◇アクアリウム・ゲート◆
周囲にドーム状の魔法陣が展開。戦場が“深海の神殿”と化す!
「こ、この空気……重い……!?」
「っち……火が使えねぇ……ッ!?炎の術が消えた!!」
「回復魔法も……減衰してる……!?」
「うそでしょ!?回復力が半分以下……!?」
「ははっ……ハンデだらけじゃねぇか……!」
グレイスが血を吐きながら笑う。
「これが……人魚女王の力……」
「これが……絶望ってやつかよ……!」
セレナは、静かに微笑む。
「私の海に入った時点であなたたちの運命は、沈んでいるの」
戦場が、音もなく沈んでいく。
仲間たちの声が、水に溶けていく。
勇者パーティーたちが闘い中、追い詰められていくなか俺は必死に生き残る方法を探していた。




