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【一二三書房Web小説大賞の一時選考突破】 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:磁力の結界 リニア新幹線殺人事件』

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第4話 組織の残響

夜の帳が東京を覆い尽くす頃、カズヤとアイゼンハワードは静かな喫茶店の奥に座っていた。カウンターから漏れる琥珀色の光に照らされながらも、二人の顔には重い影が落ちている。

 

そのテーブルに、ひとりの女性が姿を現した。記者・佐々木明美。数年前の事件で唯一生き残った証人でもある彼女は、冷たい秋風を背に受けながら、ゆっくりと席に着いた。


「……お二人に、お伝えしなければならないことがあります。」

 明美の声は低く、しかし決意を含んでいた。


 アイゼンハワードが目を細め、低い声で促す。

「話してみろ。石井が残したものか?」


 彼女は小さな封筒を取り出し、テーブルに置いた。その仕草には一瞬の躊躇があり、封筒の重みが空気に緊張を走らせる。


「石井さんから託されたんです。……公表するべきか、ずっと迷っていました。」


 カズヤが手を伸ばし、慎重に封を切る。中から現れたのは、一枚の古びた紙片だった。そこには、いくつもの名前が記されている。


「これは……」

 カズヤは息を呑んだ。


 明美は静かに頷いた。

「“幻影会”に繋がる人物のリストです。石井さんは最後まで、この組織が完全には潰えていないと疑っていました。」


【幻影会】

かつて石井が追い詰め、壊滅させたはずの犯罪組織。その名は、闇の世界に囁かれるだけで人々の心を凍らせるものだった。だが、そこに記された名前の数々は、その残響がまだ現実に息づいていることを告げていた。


アイゼンハワードがリストを凝視し、低く唸る。

「……見覚えのある名があるな。数年前、確かに消えたはずの男だ。」


カズヤは背筋に冷たいものを感じながら、問いを投げる。

「明美さん、どうして今まで黙っていたんです?」


彼女は震える指先を組み合わせ、しばらく口を閉ざした後に答えた。

「恐かったんです。このリストを持っていることが知られたら、私も……石井さんのように。」


喫茶店の窓越しに、冷たい風がカーテンを揺らす。

その一瞬、外の暗がりに人影がよぎった。


アイゼンハワードの鋭い視線が外へ向けられる。

……カズヤ、尾けられている。リストの存在を、すでに知られたかもしれん。」


明美の瞳が怯えに揺れる。

カズヤは彼女を守るように身を乗り出し、低く呟いた。


「幻影会の亡霊……やはりまだ生きている。」


リストに記された名は、ただの文字列ではなかった。

それは、再び蠢き始めた闇の輪郭を示す地図に他ならない。



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