第6話 真実の告白
海底火山の深層部──
マグマが泡立ち、地鳴りのような音が響く、紅蓮の灼熱地帯。
その中心に、巨大な影が待ち構えていた。
紅蓮の咆哮獣・ヴァレグリス。
全身から炎を噴き上げ、口元からは溶岩のような赤い蒸気が漏れる。
その両目が、俺たちを睨みつけた瞬間、灼熱の衝撃が襲った。
名前 ヴァレグリス(魔獣)
体力 : 5300
攻撃 : 2200
防御 : 1500
素早さ:1800
この世界で本来の力は神獣に近いレベルで、人間の領域をはるかに超えている。
「くっ…熱すぎる…!俺、鎧脱いでいいか?限界…!」
「アルベルトさん、だめです!目のやり場に困ります!」
「なんでだよ!?熱くして死にかかってるんだぞ!?」
「むしろ死ぬなら服着て死ね…」
戦闘が始まった。ヴァレグリスが咆哮とともに、溶岩をまき散らす!
「マーリン!さっきの氷魔法で攻撃してくれ!」
振り返ると、そこにいたはずのマーリンの姿は……ない。
「……またですか。」
その時、突如として現れたのは、火花と爆煙をまとう女!
グレイス・オマリーが
「ハッハー!燃えるねぇ!あたしみたいないい女にピッタリの戦場だ!」
右手に火縄銃、左手に手投げ爆弾を構え、ヴァレグリスに突撃。
「こっわ!とりあえず冷やしとこう…」
グレイスの顔に氷枕を押し当てる。
「ふへぇ〜〜〜気持ちい〜〜〜……でも突っ込む!」
「いや戻ってきて!!」
その瞬間、シスターマリアが両手を天に掲げ、祈りを捧げた。
「聖域は我らの希望――我らは再び闘う…!」
「《グレイス・サンクチュアリ》!」
黄金の光が降り注ぎ、パーティー全体の体力が一気に回復した。
「ありがてぇ…さすが女神様、マリア様!」
ヴァレグリスの動きが鈍り、いよいよ討伐の一歩手前
そのときだった。
???「もう、やめてくれッ!俺の仲間をいじめないでくれ!!」
戦闘が止まる。
灼熱の奥から、一人の若い人魚の男が飛び出してきた。
その隣には、静かに佇む、銀髪の美しい人魚の歌姫だった。
「誰だお前ら!?」
「俺はアレイス。こっちは…ミーナ。かつてこの町で最も美しい歌声を持つ歌姫だった」
黒魔術師のマーリンがいつのまにか戻ってきた
「だった?今は?」
アレイスが拳を握りしめた。
「セレナ女王に、歌声を奪われたんだ…!」
「なにっ!?セレナ女王がそんなことを…?」
「でも…セレナ様は人魚の女王様なんでしょ…なんで、そんなこと…」
アレイス「信じたいのはわかる。でも事実だ!ミーナの歌には神秘の力が宿っている。“水の鍵”と融合すれば、海を統べる力となる。
セレナはその力を独占するために、彼女の声と歌を奪った!」
ミーナが震える唇をわずかに開いたが、声は出ない。
その代わりに、一粒の涙が、頬を伝い海の中で光を放った。
「…これが、“人魚の涙”……!神話にある、癒しと真実の象徴……!」
「じゃあ……この涙が真実を証明してるってことか…」
「セレナは、お前たちを“使い捨ての駒”にしたんだ!このヴァレグリスは、海底火山を鎮めるために存在している守護獣。
それを倒せば……火山は噴火し、この町も俺たちも――お前たちも、全員消し炭だ!」
「……そんな…じゃあ最初から俺たちは…!」
「ふざけんなよ…女王の命令で人殺しさせられてたってのか!?」
「俺…女王の言葉、信じてたのに……!」
ミーナが、もう一度涙を流す。
その光が、俺たちの中にある“疑い”を“確信”へと変えていった。
「……決まりだな。この真実、見過ごすわけにはいかない」
「次の目的地は決まったな……真実を確かめにセレナ女王のもとへ行くぞ」
俺たちはもと来た道を戻ろうとしたときだった。
海底火山のマグマの奥に、青白く輝く水のゲートが開いた。