第5話 海底火山地帯
海底火山の腐海な岳、そこは海底の地獄だった。
ドロドロとした火山岩が泡を吹き、硫黄のガスがぶくぶくと音を立てて湧き上がる。
赤黒く染まった岩肌、濃厚な瘴気のせいで身体がじわじわと削られていくのがわかる。
「くっ…うげえ…空気が…酸っぱすぎる……」
リスクが顔をしかめ、口を押さえた。
「みなさん、気をつけてください。ここでは息を吸うだけでも体力を奪われます。特にリスクさん、あなたは今、生命力ギリギリです」
シスターマリアが聖水をふりかけながら言った。
「はい。村人には過酷です。」
ふとリスクの視線が岩陰に止まる。
「ん? なんだあれ……? キノコ?」
紫色にうごめく、妙に毒々しい傘の大きなキノコが、もくもくと怪しいガスを放っていた。
「うおおお!これ、絶対うまいやつじゃん!焼いてバターで食べたらうまそう!」
「ダメです!絶対にダメですリスクさん!!それは“腐海なダケ”といって、伝説級の毒キノコです!触れるだけで腹を下すと書物にも…!」
「腹を下す!もしや?食べるのが俺のスタイルなんだよッ!」
――もぐもぐ。
「…………ああああああああああああああああああッッ!!」
リスクが地面にのたうちまわった。
「な、なんだこの不快感!まるでクレーム対応中の店長みたいな気分だあああああ!」
【リスクの攻撃力が-5になりました】
「えぇぇぇぇ……マイナスぅ……」
そこへ、リスクの身体が突如、銅色に輝き始める。
「な、なんだ!?これはもしや……!」
ゼロの能力者の隠れた力が発動した!
ゼロの能力者のスキル発動!!
俺の身体は今度は銅色に光輝いた。
「やったぜ!またゼロ能力者である俺のレアスキルの隠れた能力なのか?」
Excalibur (エクスカリバー)――神より与えられし魔法の剣が発動した。
「シスターマリア俺のステータスを見せてくれ!」
「聖なる光がリスクを記す、ステータス!」
―――――――――
名前:リスク(村人または、 お笑い芸人)
レベル:40
体力:24
攻撃:+995(エクスカリバー効果中)
防御:0
素早さ:0
魔力:1
賢さ:455
運:465
※この世界で、最も弱いスライムに負けた男。
称号:必殺の仕事人 リスク
称号:ビックリさせる天才
固定スキル
・ゼロの能力者
・村を作る(現在無効)
―――――――――
「シスターマリア、このことはマーリンには内緒で……」
「もちろんです。絶対に言いません。神に誓って……ふふ……」
(リスクさんスライムに負けたことまだ、根に持ってるんですね。)
そのときだった。
「……風の中に、何かいるッ!」
ドオォン!!
爆風とともに現れたのは――
火の鳥サラマンダー、
そして全身が灼熱の甲冑に包まれた、地獄の炎の騎士 インフェルノ・ナイトだった。
名前 サラマンダー
体力 : 2300
攻撃 : 1200
防御 : 640
素早さ:1800
この世界で伝説の火山「焔哭山」で生まれし不死鳥。
炎の精霊と鳥類の魂が融合して生まれた奇跡の存在であり、死してもなお灰の中から復活する不滅の体を持つ。
名前 インフェルノ・ナイト
体力 : 2400
攻撃 : 1100
防御 : 950
素早さ:50
この世界で灼熱の魂に焼かれながらも命を保つ、炎に呪われし騎士。
元は伝説の英雄だったが、炎の神と契約し、不死の力と引き換えに自我を失った。
「うおっ!?なんかヤベーやつ来たぞ!?」
勇者アルベルトはサンダーソードを構えた。
「任せろ、俺が奴の後ろから……」
リスクが空気のような存在でスッと消えるように岩陰に回り込み、毒針を振りかざす。
「ふんぬっ!」
ぷすっ。スパッーーーー
一撃で、地獄の炎の騎士が真っ二つに。
「なんじゃこりゃー!?すげぇ!!」
「調子がいいなリスク」
アルベルトが笑う。
「ま、まあな!俺の毒針の実力よ!」
(本当はエクスカリバーの力です。)
その時、遠くで静かに詠唱を始める声が聞こえる。
それは、黒魔術師のマーリンだった。
「聞け、かつて万象を封じた氷の女神の嘆き。
裁きの冷気は風に乗りて、千年の罪を凍てつかせた。
鎖よ現れよ、数多の魂を縛りし氷環となれ!
一振りの指先に、運命の楔を打ち込みたまえ!
凍れ、叫べ、静まれ──
時のすべてを凍らせし、無限なる監獄にて眠れ……!
万氷牢ーー《アークティカ・プリズン》!!
一瞬で、サラマンダーが氷の鎖に包まれ、絶対零度の冷気で封じられ、粉々に砕けた。
「…………」
(ボスなみの強さです。)と俺は思った。
パーティー全員のレベルが1上がった。(※ただしマーリンを除く)
俺は不快な気分がなくなると、力のステータスは0に戻るのだった。
でも気分が悪いです。それは毒キノコの効果により俺はお腹がものすごく痛くなった。
こっそりと腐海なダケを採取するリスクであった。