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第1話 依頼

挿絵(By みてみん)

雨が夜の街を濡らす中、カズヤとアイゼンハワードはサーカスランドリーのオーナー宅に向かっていた。

玄関の扉を開けると、心配そうな表情を浮かべた佐藤浩一の妻、佐藤春菜が二人を迎えた。


「…ありがとうございます。来てくださって…」

春菜は目にわずかな涙を浮かべながらも、精一杯落ち着いた声で話す。


カズヤは軽く頭を下げ、落ち着いた口調で応じた。

「状況をできるだけ詳しく教えてください。何でも構いません。」


春菜は深呼吸し、事件の夜のことを語り始める。

「夫は、いつも通り集金を終えて帰宅するところでした。なのに、突然、誰かに襲われて…集金袋を奪われたんです。夫は…重傷で、まだ意識が戻っていません。」


アイゼンは黙って頷き、部屋の隅で落ち着いて状況を整理する。

「誰か目撃者はいましたか?何か不審な点や、変わったことは?」


春菜は少し考え込み、そして言った。

「…社内では、最近、怪しい人が営業に来たり、取引先からの連絡が急に増えたりしていました。でも、誰も具体的なことは言ってくれなくて…」


カズヤは春菜の言葉を受けてメモを取りながら、次に社内の人物たちの名前を確認する。


社内関係者・従業員


鈴木 一郎(29歳、営業担当)

社交的で話し好きだが、時に計算高い一面も。集金前に夫の動きに注意を払っていた。

怪しい兆候: 会話の端々で金銭や契約の話題に執着する様子があり、彼自身が利益に絡む可能性を匂わせる。


浜田 梨沙(34歳、経理部長)

冷静で正確な判断力を持つが、最近の売上異常を誰にも相談せず独自に調査していた。

怪しい兆候: ログや帳簿を見つめる目は鋭く、何かを隠しているかのよう。


高橋 健介(42歳、技術部門責任者)

真面目で技術に情熱。両替機の異常動作を見つけている。

怪しい兆候: 機械のログを操作できる立場にあるため、裏で操作している可能性も排除できない。


佐藤 春菜(26歳、従業員)

明るく親しみやすいが、内に秘めた悲しみを持つ。

怪しい兆候: 事件前、両替機を操作した記録があり、本人は無意識だったと主張。


緒方 洋一(29歳、ライバル店経営者)

社交的で話し好きだが、商売敵。

怪しい兆候: 競合の動向を探るために社内に接触しており、事件との関連性が疑われる。


黒崎 剛(38歳、夜間警備員)

落ち着いた表情だが、目つきは鋭く常に周囲を観察している。

背景: 夜間警備を担当しているが、警備範囲外の物品に手を出していた疑惑がある。

怪しい兆候: 集金袋の夜間移動の時間帯に監視カメラの死角で姿が確認されていた。


藤原 美咲(31歳、取引先営業)

美しい外見で社交的だが、金に対する執着が強い。

背景: サーカス企画に契約関係で頻繁に出入りしている。

怪しい兆候: 事件直前、両替機の前で不自然な滞在が目撃されている。



カズヤは皆の話をまとめ、次の行動を決めた。

「まずは現場の状況を確認する。そして、機械のログや収支の異常を洗い出す。手がかりは小さくても逃さない。」


アイゼンは微かに笑みを浮かべながらも、鋭い視線を周囲に巡らせた。

「事件は小さな兆候から始まる。我々の仕事は、それを見逃さず、真実へと導くことだ。」


こうして、カズヤとアイゼンハワードの捜査が動き始めた。社内の証言、機械の記録、そして怪しい人物たちの動向。小さな手がかりが、“悪魔のコイン”事件の全貌へとつながっていくのだった。

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