表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計54万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:なき猫』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

699/1330

第8話 白猫を探せ

その夜、沖の原島は嵐の前触れのように風が強まり、木々のざわめきが不気味に響いていた。


勝トシエの家は、相変わらず猫たちに囲まれていた。灯りの漏れる窓辺で、彼女は古びた占い道具を前に、ひとり低く呟いていた。


「黒猫が三度鳴いた…次に狙われるのは、このわしじゃろうな…」


カズヤとアイゼンハワードは、その言葉を思い出しながら民宿で事件資料を整理していた。すると突然、外から鋭い猫の鳴き声が三度、夜を切り裂いた。


「まただ…!」

カズヤは椅子を蹴るように立ち上がり、アイゼンハワードと共に勝トシエの家へと駆け出した。


しかし間に合わなかった。


古びた戸を押し開けると、そこには異様な光景が広がっていた。

勝トシエは床に倒れ、すでに息絶えていた。彼女の首元には赤い線が走り、まるで何者かに絞められたかのようだった。その周囲を数匹の猫が取り囲み、静かに彼女の顔を覗き込んでいた。


「……黒猫の呪いだ」

我聞龍二が駆けつけ、震える声で呟いた。


「いや、これは人の手によるものだ」

アイゼンハワードは鋭い視線を走らせた。

「呪いを偽装した殺人……犯人は伝説を利用している」


カズヤは勝トシエの部屋を見回した。机の上には、血に染まった紙切れが落ちていた。

そこには震える字でこう書かれていた。


「白猫を探せ」


「白猫……?」

カズヤの胸に寒気が走る。


その夜、島の住民たちは再び恐怖に包まれた。黒猫の鳴き声とともに、また人の命が奪われたのだ。

そして、「次に死ぬのは誰か」という不安が、村中を覆っていった。


勝トシエの死は、島全体に不安と恐怖を広げた。

カズヤとアイゼンハワードは、現場に残された血の文字


――「白猫を探せ」――に注目した。

これは単なる恐怖演出ではなく、犯人からの導きのようにも思えた。


「白猫…つまり、伝説にあるあの猫か?」

アイゼンハワードは低く呟き、窓の外で揺れる黒い影を目で追った。


カズヤは民宿の庭に目を向ける。昨夜、勝トシエの家の周囲で何度も黒猫が鳴いていたことを思い出した。黒猫の行動と白猫の存在――二つの伝説は、この島の事件と密接に絡んでいるに違いない。


「まずは、勝トシエさんが何を調べていたかを洗い出そう。」

カズヤは彼女の机の引き出しを調べ始めた。そこには、古い地図やメモ帳、そして小さな写真があった。写真には、白い猫と黒い猫が同じ場所にいる場面が写されている。


「これは…何かの場所を示しているのかもしれません。」

アイゼンハワードは写真に書かれた小さな記号を指さした。どうやら、島の北側にある岩場の一角を示しているようだった。


「なるほど、次の手がかりは北の岩場か。」

カズヤは決意を固め、アイゼンハワードと共に出発した。


外はまだ嵐の名残で風が強く、夜明け前の薄暗い道を二人は慎重に進む。足元には濡れた落ち葉と、黒猫の小さな足跡が点々と残っていた。


「この足跡…黒猫のものか?」

カズヤが指を差すと、アイゼンハワードは頷いた。


岩場に着くと、二人の目の前に小さな白猫が現れた。夜の闇に映える純白の毛並み。その目はまるで二人を試すかのように光っていた。


「やっと…見つけたか。」

カズヤは息を殺して猫に近づく。だが、白猫はすぐに岩陰へと身を隠した。


まるで「ついて来い」とでも言うかのように、岩場を巧みに移動する。


二人は白猫の後を追いながら、次第に事件の核心に近づいていることを感じた。黒猫の呪い、白猫の手がかり、そして島に潜む人間の利害、すべてが交錯し、緊迫した静寂の中で次の瞬間、二人の前に驚くべき光景が現れようとしていた。

三神建設関係者


三神雄二:45歳、部長、自己中心的で野心的(死亡)

橋本史郎:40歳、プロジェクトマネージャー、効率重視、(死亡)

加賀美良子:30歳、広報担当、社交的で説得力あり



島の住民


我聞龍二:50歳、漁師、神秘的、黒猫伝説を信じる

井上真理子:28歳、医者、白猫と黒猫伝説を研究

木村梓:32歳、民宿経営者、温かい性格

勝トシエ:63歳、占い師、黒猫伝説に詳しい(死亡)

神林一郎:55歳、神主、伝統と文化を重んじる

安藤春:31歳、新聞記者、好奇心旺盛

佐々木大輝:36歳、教師、温厚だが時に厳しい

森田健一:29歳、ダイビングショップ経営者、冒険好き

沢田淳:46歳、警備員、真面目で責任感強い

藤原健太:37歳、不動産投資家、開発の利権狙い

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ