第7話 島民のアリバイ確認
カズヤとアイゼンハワードは、民宿を営む木村梓を訪ねた。
木村梓 アリバイ確認
「木村さん、事件の夜はどのように過ごされていましたか?」
「その夜は、宿泊客が二人来ていましたので、夜の10時ごろまで食事や片付けで忙しかったです。その後は帳簿をつけて、寝たのは11時過ぎでした。」
「宿泊客の方が証言してくれるかもしれませんね。」
「ええ、きっと覚えていると思います。外へ出たことは一切ありません。」
カズヤは、梓の落ち着いた声に信頼性を感じた。
勝トシエ アリバイ確認
夜の帳が下り始める頃、二人は勝トシエの家を訪ねた。古びた家の前には、数匹の猫が集まっている。
「勝トシエさん、事件の夜のことをお聞きしてもよろしいですか?」
勝トシエはしわがれた声で笑った。
「ふふ、あんたたちも猫の声を聞いたんだろう?」
「ええ、安藤春さんが、あなたの家から猫の鳴き声が聞こえたと言っていました。」
「その通りだよ。黒猫が三度鳴いたんだ……。島に死を呼ぶ声だ。私は止めようと白猫を探したけれど、見つからなかった。」
アイゼンハワードは眉をひそめる。
「では、あなたはその夜、ずっと家に?」
「そうだよ。猫と一緒にいた。外には出ていない。だが――黒猫の声を聞いたのは、私だけじゃないはずだ」
カズヤは彼女の視線に違和感を覚えた。勝トシエは、まるで“知ってはいけない何か”を知っているかのように思えた。
こうして、島の主要な住民たちのアリバイが一通り確認された。
我聞龍二:夜8時ごろ、北の岩場へ。目撃者なし。
井上真理子:診療所で夜勤。外出せず。
神林一郎:神社で管理。異常なし。
沢田淳:建設現場の巡回。異常なし。
森田健一:自宅で過ごし、9時に友人と電話。
藤原健太:自宅。靴は一足だけ。
安藤春:バーで友人と飲み、帰り道で猫の声。
木村梓:宿泊客の対応。証人あり。
勝トシエ:自宅で猫と過ごす。黒猫が三度鳴いたと証言。
そして、カズヤとアイゼンハワードは互いに視線を交わした。
「アリバイが揃ったようでいて、どこかに穴がある気がしますね」
「そうだな。特に気になるのは……猫の鳴き声だ。三度鳴いた時刻と、三神雄二が絶命した時間が一致している可能性がある」
「黒猫伝説が、ただの迷信なのか、それとも犯人が利用した仕掛けなのか……」
二人は再び動き出した。島に渦巻く伝説と利害、そしてアリバイの影。その狭間に、事件の真相が隠されている。
三神建設関係者
三神雄二:45歳、部長、自己中心的で野心的(死亡)
橋本史郎:40歳、プロジェクトマネージャー、効率重視、(死亡)
加賀美良子:30歳、広報担当、社交的で説得力あり
島の住民
我聞龍二:50歳、漁師、神秘的、黒猫伝説を信じる
井上真理子:28歳、医者、白猫と黒猫伝説を研究
木村梓:32歳、民宿経営者、温かい性格
勝トシエ:63歳、占い師、黒猫伝説に詳しい
神林一郎:55歳、神主、伝統と文化を重んじる
安藤春:31歳、新聞記者、好奇心旺盛
佐々木大輝:36歳、教師、温厚だが時に厳しい
森田健一:29歳、ダイビングショップ経営者、冒険好き
沢田淳:46歳、警備員、真面目で責任感強い
藤原健太:37歳、不動産投資家、開発の利権狙い




