第7話 地獄の温泉旅館 での合同お見合い会
薄曇りの午後、地獄の奥地にそびえる名門温泉旅館「鬼灯館」。
その混浴露天風呂で、魔界最大の婚活イベント、合同お見合い会が開催された。
湯気が立ち込める湯船に、ダイ・マオウと、これまでのお見合いで出会った花嫁候補たちが一堂に会する。
【嫁候補一覧】
ゾンビ秘書・リリナ:柔らかい家庭的な優しさを秘めるが、ゾンビ化スイッチはいつでもON。
吸血鬼の姫・ヴァネッサ:ゴージャスで高飛車、輸血代=生活費がかさむ。
地獄銀行頭取の娘・紅鬼カレン:経営感覚鋭く、借金帳消しパワーあり。
竜族の令嬢・ドラコーネ姫:料理は全滅級、火を吹く習性あり。
天使のお嬢様・セラフィーナ:清楚に見えて潔癖症、性格は地獄級。
さっちゃんは早速、魔王城に次ぐ戦場を前に小言を呟く。
「魔王さま……どうせまた全員にいい顔して迷うのね。見てらんないわ……」
起:カップリングタイム開始
司会の鬼僧侶が声を張る。
「さあ、混浴露天風呂お見合い会、カップリングタイム開始です!」
ダイ・マオウは湯船の中で五人に囲まれ、頭を抱える。
リリナ
「魔王さま、湯加減はどうですか?」
ヴァネッサ
「魔王様……血の香りと硫黄の香り……これぞロマンチックですわ」
カレン
「借金を帳消しにできる権限を持つ魔王様、湯加減なんてどうでもいいでしょう?」
ドラコーネ
「私の温泉卵、食べますか?……ゴホッ、硫黄くさいですけど」
セラフィーナ
「ちょっと待ってください! 湯船の髪の毛! ゴミ! 不潔!」
ダイ・マオウ「う、うーん……全員いい子すぎて決められん……!」
さっちゃん「ハァ……あんた、義理人情の亡者か。断る勇気ゼロじゃん……!」
次々に花嫁候補たちがアピール合戦を開始。
リリナ
「魔王さま、家庭で大事にしたいのは、笑いと愛情です」
ヴァネッサ
「生活費の計算も怠らないでくださいね、魔王さま」
カレン
「経営戦略を考えてから湯船に入るべきですわ」
ドラコーネ
「火を吹いて温泉に変化を加えましょうか?」
セラフィーナ
「手袋三重装備していないと湯に触れられませんわ!」
ダイ・マオウ「わ、わ、わからん……! 全員にいい顔をしたら……どうなる……!」
さっちゃん「だから言ったじゃん! 義理人情が命取りよ! 婚活は戦い、戦略よ、魔王!」
ダイ・マオウは誰も傷つけたくないあまり、全員に「いいですよ」と返事をしかける。
リリナ「魔王さま……優しい……」
ヴァネッサ「ふふ……」
カレン「うむ、理解しました」
ドラコーネ「むぐ……」
セラフィーナ「…………」
湯船の中はまるで魔界版ハーレム状態。
さっちゃん「ちょっとアンタ! 財政破綻しちゃうからハーレムエンドは許さないわよ! 決めろ、断る勇気を見せろ、魔王!」
ダイ・マオウ「ぐ……しかし……義理人情が……!」
湯船でのカップリングタイム、ダイ・マオウはついに決断する。
「……皆、ありがとう! しかし、今回は誰ともカップリングせん!」
リリナは柔らかく微笑む。
ヴァネッサは高慢に鼻で笑う。
カレンは計算表を叩きながらため息。
ドラコーネは火を吹きかけるのを我慢。
セラフィーナは手袋を外す。
さっちゃんは小さく拍手し、満足げに言う。
「ようやく賢明な判断ね……でも、まだ終わらないわよ!」
その瞬間
五人の花嫁候補たちが一斉に動いた!
リリナ「魔王さま、家庭的に叱ります!」
→ゾンビパワーで湯船の水を巻き上げてダイ・マオウに直撃
ヴァネッサ「私の血のロイヤルパンチを受けなさい!」
→吸血鬼特製スライディングアタック
カレン「経営上、無理な決断は容赦しません!」
→数字と帳簿を武器に、魔王めがけてブン投げ
ドラコーネ「火のブレスォォォ!」
→火を吐いて湯気ごと爆風攻撃
セラフィーナ「不潔! 浴場規律違反!」
→手袋高速パンチ、湯船を振動させる
ダイ・マオウは「あわわわわー!」と叫びながら、湯船の上で宙を舞う。
湯けむりと火、カレー、書類、髪の毛が入り乱れる。
さっちゃん(呆れ顔で)
「ギャグ漫画か! 断る勇気見せた途端に全員からフルボッコとか、学びどころが多すぎるわよ、魔王!」
ダイ・マオウは空中で三回転し、最後は露天風呂の巨大湯桶にどすんと落下。
湯しぶきとともに、温泉カオスの戦場は一瞬で静寂に包まれる。
五人は湯面に立ち、それぞれ腕組みで勝ち誇った表情。
リリナ(微笑みながら)「これで決まったかな、魔王さま」
ヴァネッサ(鼻で笑い)「ふふ、次はもっと賢く決断してね」
カレン「経営者としての常識を忘れないで」
ドラコーネ「火力は控えめにね」
セラフィーナ「手袋は必須ですわよ」
ダイ・マオウは湯桶の中から顔だけ出して、ぼーっとつぶやく。
「……う、うん……決められんかった……」
さっちゃん(指をさして)
「だから言ったじゃん! 義理人情の亡者はこうなるの! 次はマジで決めろ、魔王!」
本日の学びポイント(さっちゃん毒舌解説付き)
断る勇気も婚活マナー
さっちゃん「全員にいい顔するな、魔王。ハーレム状態で湯船飛び回る羽目になるのよ!」
決断力がないとカオス発生
さっちゃん「五人に囲まれたらフルボッコ確定。義理人情で優柔不断は魔界版自滅パターン!」
ギャグ戦法でも受け止められない時は潔く退場
さっちゃん「湯桶落下+火力+帳簿攻撃+血パンチ+高速手袋パンチ=魔王の負け。柔軟さだけじゃ太刀打ちできないわ」




