第4話 地獄銀行の鬼のお嬢とのお見合い
魔王城の応接間。
姿を現したのは地獄銀行頭取の娘、紅鬼カレン。
黒のタイトスーツに高級ブランドのバッグを下げ、角はきっちり研ぎ澄まされ、メガネの奥には鋭い光。
「初めまして、魔王さま。財務状況と借金額は把握済みですので、今日は雑談からでよろしいですか?」
「(ど、どんだけ仕事早いんだ……)は、はい。よろしくお願いします……!」
さっちゃん「なぁ魔王、雑談の定義ちがわね?いきなり家計簿トーク入ってるぞ」
「あなたの借金、私の一存で帳消しにできます」
「ほ、ほんとに!? それは助か――」
「ただし。条件があります」
さっちゃん「出たよ“ただし”の地獄ワード!」
「まず、あなたの経営感覚を正していただきます。赤字で家庭を支えるなど論外ですから」
「えっ……いや、俺は愛さえあれば……」
「はい、却下。愛だけで生活できるなら金融業は存在しません」
さっちゃん「鬼の正論パンチ!魔王が吹っ飛んだぁぁぁ!」
「では、家庭の話をしましょう。子どもが生まれたら教育資金はいくら想定してますか?」
「え、えっと……カレーの作り方を教えれば十分じゃ……」
「はい、却下。教育は投資です。放置すれば“負債”になります」
さっちゃん「子育てを決算書扱いするなよ!怖いわ!」
「次に、奥様。つまり私がもし専業主婦になった場合、収入をどう補填します?」
「ええと……俺が頑張って魔界侵略を……」
「はい、却下!収入源の分散ができていません!」
さっちゃん「家庭会議が株主総会のテンションだぞ!」
「さらに、生活費を“浪費”するタイプなら即刻改善していただきます」
「俺のカレー食べ放題は浪費じゃない!魔族の心を一つにする投資だ!」
「ROI(投資利益率)ゼロですね」
さっちゃん「カレーの投資の利益率を測る奴がどこにいるんだよ!」
「(心の声)……借金をチャラにできるなら結婚したいけど……完全に“鬼の面接官”だ……」
「結婚とは互いに築き上げるもの。救済を求める関係では、必ず崩壊します」
「……はい……」
さっちゃん「借金チャラより精神がボロボロになって帰ってきたな!」
またしてもお見合いは決裂。
魔王の財布だけでなく、心までもがガリガリ削られたのであった。
本日の学びポイント(さっちゃんの毒舌解説付き)
結婚相手に「救済」を求めると上下関係になる!
さっちゃん「“助けてもらう側”で結婚したら、一生『お前はダメ夫』って言われ続けるぞ!」
支え合いの形を考えるのが大事!
さっちゃん「借金チャラより、カレー皿洗ってくれる嫁の方が幸せだぞ、魔王!」
お金はたくさんあっても逆に大変!
さっちゃん「お金の管理できなきゃ“地獄の家計簿”になるんだよ!」




