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【ランキング12位達成】 累計54万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:地の血判』

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第3話 侍の誓いの伝承

八つ裂き村の市長室には重い空気が漂っていた。窓越しに見える八つ裂き村の山並みは、どこか不気味に沈黙しているように見える。


町長・佐藤光は机の上に資料を並べながら、探偵カズヤとアイゼンハワードを前に深いため息をついた。


「地主たちに再開発計画を説明をした。だが、納得してくれた者もいれば、頑なに反対する者もいた」


佐藤は低い声で続ける。

「特に、古老たちが語る“血判状”の伝承が、村人たちの心を縛っている。侍たちが土地を守るため、自らの血で誓いを立て、互いに裏切らぬと契りを交わした……そう伝えられている」


カズヤが身を乗り出す。

「その血判状が実在するんですか?」


市長は首を振った。

「分かりません。ただ一つ確かなのは、村人たちは口を閉ざしてしまったということだ。“血判のことは他所者に話してはならぬ”古来からそう言い伝えられているらしい。昨日も釜田治に問いかけたが、彼はただ視線を逸らし、黙って立ち去った」


アイゼンハワードは腕を組み、窓の外に目を向けた。

「莫大な金が動くとき、必ず何かが起きるのじゃ……。わしの経験上、伝承にしがみつく者と、金に目がくらむ者が交わると、血の匂いがするものじゃ」


市長は言葉を濁しつつも、机の引き出しから一枚の封筒を取り出した。

「……これを渡しておこう。村人と地主たちのリストだ。君たちなら、彼らの心の内を探れるかもしれない」


カズヤは封筒を受け取り、中の紙に目を走らせた。そこには名が並んでいた。


釜田治かまたおさむ:大地主。伝統を重んじる頑固な人物。

釜田大地かまただいち:治の息子。不動産会社経営。父と再開発計画で対立。

高橋幸子たかはしさちこ:地主兼農業。地域社会に根付いた人物。

松本慎二まつもとしんじ:地主。老練で地域歴史に詳しい。

木下絵里きのしたえり:地主兼牧場経営。合理的で商才あり。

佐々木修三ささきしゅうぞう:地主。伝統を重んじつつ開放的な考えも持つ。

中村光一なかむらこういち:カフェオーナー。社交的で地域貢献に熱心。

伊藤悠子いとうゆうこ:図書館員。知的で静か。

鈴木健すずきけん:救急隊員。勇敢で人助けを優先する。

山田花子やまだはなこ:主婦兼ボランティア。母性的で優しい。

桜井慶子さくらいけいこ:不動産会社社員。明るく社交的、内に野望あり。

小林信也こばやししんや:フリーランスジャーナリスト。真実を追求する好奇心旺盛な人物。


カズヤは紙を見つめながら、小さく息を呑んだ。

「……このリストの中に、鍵を握る人物がいるはずですね」


アイゼンハワードは不気味な笑みを浮かべた。

「血判状。それがただの伝承か、それとも今も息づく呪縛なのか。どちらにせよ、真実を暴けば、何者かが必ず犯人の名を告げるかもしぬ。」


市長室の時計が鈍く時を告げた。村の奥底に眠る伝承の影が、今まさに目を覚まそうとしていた。


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