第4話 シベリア極寒列車の襲撃
吹雪が地平線を覆い尽くす、氷の大地シベリア。
氷点下40度の凍土を切り裂くように、黒鉄の装甲列車が疾走していた。蒸気ではなく最新鋭の核動力を搭載し、車体には重機関銃とミサイルポッドが並び、まるで移動要塞のごとき威容を誇っていた。
その列車の中。極秘裏に移送される「核」。
ゼフィルが言い残した“核は移動している”という言葉の真実がここにあった。
アイゼンハワードはマントを翻し、雪原に膝をつける。赤い瞳が列車を捕捉した。
「……あれが運び屋か。時間はない。」
セリーヌはゴーグルを下ろし、スノーモービルのハンドルを強く握る。
「合図をくれたら、突入するわ!」
ジャスパーは背中の工具バッグを叩き、にやりと笑った。
「列車の制御システムにアクセスできれば、奴らの武装を逆に利用してやれる。」
カテリーナは狙撃銃を抱え、冷たい吐息を吐き出した。
「合図は任せて。監視ドローンを落とす。」
吹雪の中、作戦は開始された。
列車上の突入
スノーモービルが並走し、アイゼンとセリーヌが疾走する列車へ飛び移った。
ギィィィンッ!
ブーツが装甲の上に火花を散らし、即座に自動機銃が唸りを上げる。
「くそっ、歓迎が手荒いな!」
セリーヌが転がりながら拳銃を二丁抜き、機銃手を撃ち抜く。
アイゼンはマントをはためかせ、銃弾をかわしつつ魔族の力を解放した。
バシュゥゥン!
赤黒いエネルギー弾が飛び、砲座を一撃で吹き飛ばす。
その隙にジャスパーが列車内部に侵入、携帯端末を突き込みながら走り出した。
「制御システム、ハッキング開始! 3分稼げ!」
カテリーナは雪原からスコープを覗き、狙撃を開始。
パンッ! パンッ!
見事な精度で監視塔の兵士を次々と撃ち抜き、列車上の味方を援護した。
車内戦闘
アイゼンとセリーヌが列車の車両へ飛び込むと、そこは重武装の秘密警察隊が待ち構えていた。
「MI6! この場で死ね!」
ダダダダダッ!!
銃撃が嵐のように襲いかかる。
「くっ……!」
セリーヌが身を伏せながら反撃、狭い車両内を縦横無尽に駆け、敵兵を一人ずつ沈めていく。
アイゼンは壁を蹴り、逆さに回転しながら二丁拳銃を乱射。
「狭いほど好都合だ。お前たちの死角は、すべて俺が突く!」
弾丸と魔力の閃光が交錯し、車両は戦場と化した。
後方ではジャスパーが制御パネルにケーブルを接続し、指を滑らせる。
「列車の武装システム、奪取完了! さぁ、今度は俺たちの砲台だ!」
直後、列車上の機関砲が逆方向へと回転し、追撃していた秘密警察の輸送車両を蜂の巣に変えた。
一行は列車の中心部、厚い装甲扉の前にたどり着く。
そこには赤いマーク放射能のシンボルが描かれていた。
セリーヌが顔をしかめる。
「……中にあるのは間違いないわ。」
アイゼンが静かに銃を構える。
「ゼフィル……貴様はどこまで核を弄ぶ気だ。」
だがその瞬間、列車全体が急停止した。
鋼鉄の悲鳴が雪原に響く。
次の瞬間。闇の中から現れた影が、彼らを待ち受けていた。




