第3話 弟子ゼフィルとの邂逅
赤いランプが狂ったように点滅し、コンクリートの天井から粉塵が落ちてくる。
サイレンの咆哮の中、スピーカー越しにゼフィルの声が低く響いた。
『……師よ。ここにあった核はすでに移動している。追っても無駄だ。』
アイゼンの眉がわずかに動く。
「……核だと?」
『だが安心しろ。決着はまだ先だ。俺はお前の前から逃げはしない』
その言葉を最後に、爆発音が地下を揺るがした。
「罠だ! 退避しろ!」
ジャスパーが叫んだ瞬間、通路の奥で火柱が上がり、壁が崩れ落ちる。
カテリーナがセリーヌの腕を引き、横に飛ぶ。
「急いで! 通路が閉じられる!」
通路は自動で分断され、鋼鉄のシャッターが次々に落ちていく。
アイゼンはマントを翻し、シャッターが閉じる直前に飛び込み、仲間たちと合流した。
「爆風が後ろから迫ってるわ!」
セリーヌが叫び、銃を撃ち放ちながら監視ドローンを撃墜する。
通路の先には、まるで迷路のような分岐。赤い矢印ランプが錯乱的に点滅し、脱出口を惑わせていた。
「ゼフィルめ、出口を偽装している……!」
アイゼンが吐き捨てる。
カテリーナが腰から携帯型探知機を取り出し、素早くスイッチを入れる。
「こっちよ! 換気口の空気の流れがある!」
一同は瓦礫を飛び越え、狭い通路へ飛び込む。だが、背後から秘密警察隊の兵士たちが雪崩れ込み、銃火を浴びせてきた。
「時間を稼ぐ!」
ジャスパーが自作のEMPグレネードを投げ込むと、火花が散り、敵の照準システムが一斉に停止する。
「よし、行け!」
狭い通路を駆け抜けると、先には縦に伸びる鉄梯子。上からはかすかな月光が差し込んでいた。
だが梯子の下部に仕掛けられた爆弾が、赤い光を点滅させている。
「またか……!」
カテリーナが即座に身を投げ出し、解体用ツールを取り出す。冷や汗を浮かべながらコードを切り、わずか数秒で解除した。
「解除完了! 早く!」
一同は梯子を駆け上がり、地上へ飛び出した。
その瞬間、地下全体が轟音を立てて崩壊。火柱が夜空に噴き上がった。
その瞬間、地下全体が轟音を立てて崩壊した。
ドゴォォォォォン!!
大地を揺るがす咆哮と共に、地面が波打つ。
バリバリバリッ……ガガガガガァァァン!!
鉄骨がねじ切れるような音、崩壊するコンクリートの破裂音が連鎖する。
ズドォォォォォォンッ!!!
最後の爆発が地中深くで炸裂し、炎の柱が地上へ突き抜けた。
火柱は轟音を伴い、夜空を真紅に染め上げる。吹雪さえ一瞬止まったかのように、世界を圧倒する破滅の閃光だった。
雪原に倒れ込み、息を整える仲間たち。
セリーヌが蒼白な顔で呟く。
「……ゼフィル、本当に生きていたのね。」
アイゼンは煙の中で赤い瞳を細め、低く言った。
「弟子よ……核を手にし、何を企む。決着は、必ずつける。」
吹雪が夜を覆い隠す中、アイゼンのマントは静かに揺れていた。




