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完結【51万8千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:死刑執行人』

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第5話 犯人の殺害方法と宿泊客の分裂

ペンション「雪華」は、ただの宿泊施設ではなく、謎と疑念に満ちた舞台と化していたのだった。

そして宿泊客は各部屋に閉じこもり誰も会話をせず話さなくなった。


中村聡の遺体検視を行いました。遺体は冷たく、静かに横たわっていました。カズヤとアイゼンハワードをは慎重に遺体を調べ、次のような結論を導きました。


【頭部の外傷】

中村さんの頭部には鈍器での打撃痕があります。これは明らかに暴力によるものです。頭蓋骨の一部に骨折が見られ、内出血も確認されています。


【絞殺】

遺体の首には明らかな圧迫痕があります。これは絞殺によるものです。

絞殺の痕跡は、鈍器での打撃よりも後に付いたものと考えられます。



ペンション「雪華」は、前夜の惨劇の余波で張り詰めた緊張に包まれていた。吹雪はようやくやみ、静寂が館内を支配する。しかし、その静けさは、恐怖と疑念で満ちた空気を隠すことはできなかった。


居間の暖炉の火が揺れるたび、宿泊客たちの顔に不安が映る。誰もが互いを警戒し、言葉少なに座っていた。


田中美和は、震える声で口を開く。

「中村さんが…なぜこんなことに…」


アイゼン・ハワードは冷静に立ち上がり、指を天井にかざして影を確認しながら言った。

「状況を整理しろ。現場は二重の殺害が行われている。鈍器による打撃と絞殺。犯行は計画的で、感情だけでは行えない。」


カズヤが横で頷く。

「鈍器による頭部打撃で意識を奪い、さらに絞殺で確実に命を絶った。犯人は冷静だ。」


アイゼンハワードも眉を寄せる。

「となると…この中に犯人がいる可能性が高いということか。」


山崎理沙は小声でつぶやく。

「…私、昨夜の裏庭で誰かを見た気がする…でも…名前はわからない。」


その言葉で居間がざわめいた。緊張は一気に高まる。


鈴木大輔が落ち着いた声で言った。

「つまり、誰も完全には信用できない状況になったということか…」


寺田健一は妻を見つめながら、声を震わせる。

「俺たちは…誰を信じればいいんだ…」


伊藤誠一が資料を見ながら冷静に指摘する。

「アリバイを確認するしかない。行動の記録と裏庭の足跡を照合すれば、動かぬ証拠が見つかるはずだ。」


小林花は居間の中央で両手を組み、必死に抑えるように言った。

「でも…感情で人を責めてはいけない。でも…疑心暗鬼が止まらない…」


その時、山本拓也が立ち上がり、手にしたカメラを振りかざした。

「俺が昨夜の足跡を撮った。だが、雪に混じる足跡は複数の人物のものだ。誰が犯人かはまだわからない。」


高橋和也が腕を組み、険しい表情で言った。

「だが、行動を隠す奴がいるのは確実だ。このまま黙っていれば、次の犠牲者が出る。」


ここで、美和は涙をこぼしながら叫んだ。

「信じられない…仲間を疑わなければならないなんて…!」


その瞬間、宿泊客たちは二つのグループに自然と分かれ始めた。


グループA:慎重派

寺田健一・寺田・田中美和・アイゼン・ハワード・カズヤ

「まず証拠を整理し、動線とアリバイを確認するべきだ。感情で人を追い詰めるな。」


グループB:直感派

山本拓也・小林花・高橋和也・山崎理沙・鈴木大輔・伊藤誠一

「感情や直感も無視できない。誰かが何かを隠しているのは確実だ。黙って見過ごすわけにはいかない。」


両者は火の揺らめく居間で睨み合った。言葉の端々に、互いの不信感が混じる。


寺田健一が静かに声を上げる。

「感情で疑うのは危険だ。証拠に基づかなければ…」


山本拓也が即座に返す。

「だが証拠はまだ不十分だ!隠れている犯人が動き出す前に、誰かを追及するしかない!」


小林花が泣きそうな顔で仲裁に入る。

「やめて…争うなんて…でも…どうしても信じられない人がいる…」


そのとき、居間の扉がゆっくりと開き、廊下に足音が響く。全員が振り返ると、影が一つ、静かに進んできた。


アイゼン・ハワードはその影を鋭く見据え、冷たい声で告げる。

「落ち着け。犯人はこの中にいる。だが、焦れば焦るほど、我々は奴の思う壺だ。」


カズヤが隣で補足する。

「まずは冷静に、全員の行動を検証する。感情に流されれば、このペンションは戦場になる。」


しかし、宿泊客たちの間に生まれた分裂は既に深く、互いの疑惑は抑えきれないものとなっていた。雪に閉ざされた孤立した空間で、誰が次の行動に出るのか、誰が加害者で誰が犠牲者なのか、その境界線はもはや曖昧だった。


ペンション「雪華」は、ただの宿泊施設ではなく、疑念と恐怖の舞台として宿泊客たちを試す容赦のない場となったのだった。


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