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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:死刑執行人』

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第2話  暖炉の談笑と凍てつく朝の発見

吹雪に包まれたペンションの内の夜。


薪のはぜる音と暖炉の火が、ペンション「雪華」のダイニングに柔らかな光を投げかけていた。


夕食を終えた宿泊客たちは、それぞれ椅子に腰を下ろし、赤ワインや熱いココアを手に語り合っていた。


寺田健一( サラリーマン)

「皆さん、こんばんは。ここは本当に静かで、都会の喧騒を忘れさせてくれますね。」


田中美和( オーナー)

「健一さん、恵理子さん、お二人の新婚旅行に私のペンションを選んでいただき、ありがとうございます。ここが皆さんにとって特別な場所になるといいですね。」


伊藤誠一( システムエンジニア)

「……確かに。システムのバグを一つ直したように、心の雑音も消えていく気がします。」


小林花( イラストレーター)

「この静けさ、創作にぴったりです。雪の森を描いたら素敵になりそう!」


鈴木大輔(小説家)

「私も同感です。こうして皆さんのお話を聞いていると……登場人物が勝手に動き出すような感覚になります。」


寺田恵理子( ジャーナリスト)

「……なにか人生の転機が起こりそうな予感がするわ。」


山本拓也カメラマン

「明日の朝一番、外に出て雪景色を撮りたいですね。」


田中美和( オーナー)

「聡さん、どうかされました?」


中村聡( 元警察官)

「……昔のことを、ふと思い出しただけです。」


寺田健一( サラリーマン)

「過去は過去です。ここでは新しい思い出を作りましょう。」


その時、重い声が割り込んだ。


アイゼンハワード

「……だが、この静けさが永遠に続くとは限らない。」

深い声に、場の空気が一瞬張りつめた。


カズヤ

「祖父の言葉はいつも不吉に聞こえますが、直感は外れたことがないんですよ。」

淡々とした声に、数人がざわめき、理沙は興味深そうに彼を見つめた。


山崎理沙( 民俗学専攻)

「雪山には昔から“不吉を呼ぶ伝承”があります。このペンションも、その伝承の中にあるのかもしれません。」


高橋和也( 登山ガイド)

「……吹雪の音に耳を澄ませてください。これは山が“怒っている音”です。明日は外出しない方がいい。」


不安を打ち消そうとするように、美和は笑顔を取り戻した。

「大丈夫ですよ、皆さん。ここは安全です。元警察官の中村さんもいますし、心配はご無用です。」


だが、その直後


緊急速報


テレビから低い電子音が鳴り、ニュースキャスターの声が響いた。


ニュースキャスター

「緊急ニュースです。本日、無期懲役の判決を受けていた元会社員・馬場紀夫が脱獄しました。警察は周辺住民に警戒を呼びかけています。現在、馬場の行方は不明です。」


ざわめきが広がった。


寺田健一

「まさか……この辺りに?」


寺田恵理子

「私たちの安全は……?」


中村聡

「心配は要りません。私が見張ります。ただ、今夜は部屋から出ないでください。」


アイゼンはグラスを傾け、炎の揺らめきを見つめた。

「……凍える死の気配が近い。嵐は人を閉じ込め、獲物を逃がさない。」


カズヤが低くつぶやいた。

「まるで……これから何かが起きると決まっているようですね。」


その言葉を打ち消すかのように、外から吹雪が窓を叩きつけた。





一晩中荒れ狂った嵐が、ようやく静まった翌朝。

裏庭の雪に足跡を残しながら、健一と恵理子が池の方へ歩み出る。


「見て……あれ……!」


氷の張った池の上に、異様な影が横たわっていた。

近づくと、それは凍りついた人間の死体だった。


囚人服。虚ろに開かれた瞳。


昨日ニュースで聞いたばかりの名前が、二人の脳裏をよぎった。


馬場紀夫。( 囚人 )


寺田恵理子が凍える声でつぶやいた。

「……彼が、ここまで来ていたなんて。」


寺田健一は唾を飲み込んだ。

「だが……どうやって吹雪の中を? それに……これは事故なのか、それとも」


遠くで、アイゼンとカズヤが静かに池を見つめていた。

二人の瞳には、他の宿泊客には見えない「次の惨劇の影」が映っていた。


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