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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:冥界から届いた遺書』

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フェーズ6 宇宙への準備

MI6特別格納庫。


赤い非常灯が回転し、床下から唸るようなエンジン音が響き始める。

天井が開き、夜空の星々が姿を現す。


ロケットの外壁には「SIS-Ω ORBITAL STRIKE」と刻まれていた。

それは“地球を救うための賭け”を背負った兵器輸送船だった。


マルコ・サンタナは、兵装ラックの前で、弾薬箱を一つずつ確認する。

重厚な機関銃を肩に担ぎ、ニヤリと笑った。

「ジャングルも地獄だったが……宇宙のほうが燃えるって話だな」

彼の眼光は、まるで戦いを待ち望んでいる獣そのもの。


セリーヌは、冷静にスナイパーライフルを組み上げる。

無重力を想定した特殊スコープを装着し、光学レンズを覗き込む。

「風も揺らぎもない真空……狙撃には理想的な環境ね」

その声は小さく、だが確かな決意を帯びていた。


アレックス・“ライトニング”・カーターは、軽量装甲スーツの起動音がシャープに響く。彼はゴーグルを下ろし、指先で電磁ブレードを鳴らした。

「ゼログラ? 上等。俺にとっちゃ舞台が広がるだけだ」

軽快な口調だが、その瞳は戦場の緊張を隠さない。


アイゼン・ハワードは、静かにジャケットのボタンを留め、黒い手袋をはめる。影が床を這い、彼の背後に吸い込まれるように消える。

「若造ども、はしゃぐのは構わん……ただし、死ぬなよ」

老練な魔族スパイは、冷ややかな声で仲間に釘を刺した。


ジャスパー


そして一人だけ、明らかに浮き足立っていた。

宇宙服のジッパーを噛みながら必死に閉めようとし、靴を左右逆に履いて転びかける。

「マジで行くのかよ!? お前らは戦闘狂だからいいけどな!?

俺はただのハッカー! 宇宙にWi-Fiないんだぞ!? 死ぬならせめてLANケーブルに絡まって死にたいんだよぉ!」


彼の悲鳴を背に、チームは次々とロケットへ搭乗していく。

マルコが大笑いしながら背中を叩く。

「心配すんな、死んでもデータはクラウドに残る!」


「クラウドで俺の葬式あげんなあああ!!!」


ロケット発射のカウントダウンが始まる。


10… 9… 8…

格納庫全体が振動し、床に置かれた工具が跳ねる。


7… 6… 5…

仲間たちは座席に固定され、ヘルメットのバイザーを下ろす。

ジャスパーだけはガタガタ震えながらベルトを締め直し、必死に呻く。

「はぁ……俺の心臓、カウントダウンより速く爆発する……」


4… 3… 2…

轟音と共にロケット下部から炎が噴き上がり、空気が焦げる。

金属の壁が揺れ、鼓膜が破れそうな振動が全員を包み込む。


1… 発射!

巨大な衝撃が体を押し潰す。

マルコは雄叫びを上げ、セリーヌは無言で視線を前に固定し、アレックスは笑いをこらえきれずに叫ぶ。

「最高のジェットコースターだぜ!!」


アイゼンはただ静かに目を閉じ、影のように身を委ねる。


そしてジャスパーの絶叫。

「いやああああああああああああ!!!」


輸送ロケットは炎をまとい、夜空を突き抜けた。

青い地球が遠ざかり、眼前に広がるのは闇と星の世界。


次の戦場は、アリシアが待つ 宇宙ステーション だった。


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