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【ランキング12位達成】 累計54万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:冥界から届いた遺書』

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フェーズ4 南米前線基地制圧

爆音と赤光が交錯する研究施設の中枢。

ゼログラ空間で暴れ狂ったサイキック親衛隊は、ついに追い詰められていた。


「行けぇっ!」

マルコの機関銃が唸り、火線が敵を切り裂く。


アレックスの稲妻の残光が天井から床へ縦横無尽に駆け抜け、幻影兵の首筋を正確に撃ち抜いた。


セリーヌのスナイパーライフルが最後の指揮官を沈黙させると、重苦しい沈黙が訪れる。


「アリシア親衛隊、排除完了」

彼女の冷ややかな声に、誰もが深く息をついた。


ジャスパーが端末を展開し、乱れた回線に指を走らせる。

数秒で複雑な防壁が解体されていき、研究施設の神経網がむき出しになる。


彼は鼻で笑い、端末越しに冷たい視線を投げた。


「やれやれ、国家予算を注ぎ込んだ防壁が、俺の昼休みより短い命とはな。研究者どもは数字の桁だけ膨らませて、脳味噌の容量は増やせなかったらしい」


セリーヌが小さくため息をつく。

「アンタの口の悪さは世界記録モノね」


ジャスパーは肩をすくめ、端末に没頭したまま口角を上げる。

「いいじゃないか。口が悪くても、手は速い。人類はそうやって進歩してきたんだろ?」


その瞬間、地下深部から不気味な振動が走る。

金属壁が裂け、そこから現れたのは――

人と獣と機械が混じり合った異界融合体。

触手のような神経ケーブルをのたうたせ、装甲を突き破りながら基地を食い荒らしてゆく。


「おいおい……スパイ映画ってよりホラー映画に出演した覚えはないんだが」

ジャスパーが悪態を吐き、即座に緊急プログラムを走らせる。

「待てよ……逆に利用できるか?」


融合体が暴れ回るたびに、施設の回線が混線し、アリシアの支配網が乱れる。

「……なるほどな。こいつらの“騒音”で、俺が逆侵入する隙間ができるわけだ!」


電子戦の逆転の糸口を掴んだジャスパーは、狂気じみた笑みを浮かべた。

「化け物、いい仕事してんじゃねぇか。舞台荒らしは嫌いじゃない」


戦場が生態兵器の咆哮に揺れる中、アイゼン・ハワードはゆっくりと歩み出る。

「おぬしらはここで吠えておれ。……儂は、やつの影を追う」


魔族の力を纏い、彼の姿は闇に溶け込む。

警報の赤光が何度も彼を照らすが、そのたびに影がすり抜ける。

まるで壁そのものが彼を通すかのように。


彼の目的はただ一つ。

アリシア・ヴァルデス。


かつての因縁を清算するため、彼女が待つ施設奥深くへと、老練のスパイは消えていった。



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