プロローグ 新たな任務
チームMI6、
【世界が終わるその時、最後に立つのは彼らだ。】
アイゼンハワード・ベルデ・シュトラウス
所属:MI6 対異能特務課
種族:魔族サターン
年齢:472歳(人間換算で中年後期~初老)
外見:185cm/70kg。赤い瞳、ワインレッドのマント、貴族的な装い。白髪混じりを気にして保湿クリーム常備。
性格:優雅で気取っているが根は寂しがり屋の世話焼き。ナルシスト気質を自覚しており、皮肉屋だが心配りは細やか。
戦闘特徴:銃と魔族の力を制御して戦う老練なエージェント。経験に裏打ちされた戦術眼を持つ。
ジャスパー・クロウリー
所属:MI6 技術・諜報支援
年齢:不明(30代前半程度に見える)
外見:小柄で痩せ型。眼鏡の奥は隈だらけだが、にやけ顔は自信に満ちる。いつも工具バッグを持ち歩く。
性格:自信過剰で皮肉屋。だが頭脳明晰で、観察力と技術力は本物。
戦闘特徴:発明品・機械装置を駆使して戦場をコントロール。ドローンや特殊兵装で仲間を支援する参謀。
セリーヌ・ハートマン
所属:MI6 若手エージェント
年齢:20代半ば
外見:栗色の髪をポニーテールにまとめ、緑の瞳を輝かせる。戦闘スーツ姿で凛々しい。
性格:真面目で情熱的。仲間を守る意思が強く、行動は直感的だが正確。
戦闘特徴:ドライビングテクニックに優れ、戦闘支援のスペシャリスト。狙撃や小火器の扱いも得意で、チームの切り込み役。
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ロンドン。MI6本部、テムズ川を望む重厚なビルの地下会議室。
雨粒が分厚い窓を叩き、曇天の空気は沈鬱に沈んでいた。
壁一面に映し出される世界地図。各地に赤いマーカーが点滅し、不穏な緊張を示している。
会議室の中央、重苦しい沈黙を破ったのは本部長の低い声だった。
「……諸君、状況は切迫している」
モニターが切り替わり、南米密林の衛星写真が映し出される。濃緑の海に紛れるように、灰色の建造物がわずかに顔を覗かせていた。さらに拡大すると、監視塔、発着場、地下へ続く換気孔らしき影が確認できる。
「対象はアリシア・ヴァルデス。かつての“オメガ・スフィア計画”の残滓を利用し、南米で新たな拠点を築いた。密林地帯の地下に研究施設を隠し、同時に上空の小型ステーションを拠点化している」
赤いラインが地図上を走り、ジャングルから軌道ステーションへと結ばれていく。
「目的は“ラスト・コア”の確保。もし成功すれば、地球規模のエネルギー支配が現実となる。奴らの野望を我々が阻止しなければならない」
椅子に腰掛けたアイゼン・ハワードは、腕を組んだまま目を細める。老練な魔族スパイの眼差しには、かつての因縁の影が宿っていた。
「……またアリシアか。奴は執念深い」
セリーヌは銃器ケースを抱えたまま、低く息を吐く。
「正面から突破するには無謀すぎる。狙撃支援で削り取るしかないわね」
ジャスパーは手元のホログラム端末を操作し、電子網の構造を解析する。
「監視システムは複雑だが……無重力環境に適応した制御プログラムを使っている。侵入は可能だ。俺が穴を開ける」
本部長は頷き、さらに画面を切り替えた。そこには、メキシコシティを中心とした地図と二つの暗号コードネームが浮かび上がる。
「諸君だけでは不十分だ。今回の作戦には二人の協力者が加わる。 ひとりは マルコ・サンタナ 、 密林戦のスペシャリスト。 もうひとりは アレックス・“ライトニング”・カーター、無重力戦に特化した高速機動戦闘員だ。 まずメキシコで彼らと合流せよ」
セリーヌが小さく笑う。
「なるほど……心強い援軍ね」
だがアイゼンの声は冷ややかだった。
「信頼できるかどうかは、会ってから判断する」
本部長は最後に、鋭い口調で命じた。
「交渉は不要だ。ラスト・コア確保が不可能と判断されれば、対象ごと拠点を破壊せよ。任務名は《ジャングル・レイド》。成功しなければ、人類規模の破滅が待っている」
会議室の照明が落ち、映し出された地図だけが赤い光を放つ。
雨音が遠く轟き、三人の影を重く照らしていた。
MI6対異能特務課 機密文書
【極秘任務命令書】
文書番号:BR-Ω/15-JR
分類:最高機密/目標殲滅指令
発行元:英国秘密情報部(SIS)本部/対異能特務課
発行日:XXXX年XX月XX日
【任務目的】
対象「アリシア・ヴァルデス」の身柄確保、または排除。
オメガ・スフィアの残滓を利用した実験兵器の起動阻止。
南米密林および関連宇宙ステーションの掌握。
【作戦コード】
Operation: Jungle Raid( ジャングル・レイド )
【主要目標】
南米密林地帯に存在するアリシア前線基地の制圧
宇宙ステーション「Λ-Nexus」のシステム奪還
無重力実験兵器「ラスト・コア」の起動阻止
対象アリシアの確保、または戦闘行動不能化
【破壊条件(推奨案)】
対象施設またはステーションにおいて、技術奪還が困難と判断された場合、拠点ごと破壊を許可。
一般人被害は最小限に抑えること。
最終手段:衛星兵器「Excalibur」による広域殲滅射撃が承認済み。
【備考】
作戦失敗時、オメガ・スフィアの残滓が地球規模で拡散する恐れあり。
本件は国際的極秘作戦につき、存在を一切公表してはならない。
― MI6対異能特務課 本部長 直筆署名済 ―




