表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計55万6千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:幽騎士城の夜想曲(ノクターン)』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

608/1353

第5話 東京・地下研究所

東京の街を覆うネオンの海。その下に、誰も知らぬ闇が潜んでいた。

旧財閥が残した地下研究網。今は異界技術を利用した違法実験の温床となっている。


MI6チームが接触したのは、日本の公安調査庁の一人のエージェントだった。

長身の男。黒い外套の下にスーツを纏い、背には日本刀。


挿絵(By みてみん)


「……風間 迅。公安だ。」


名乗りはそれだけ。

鋭い眼差しに、言葉以上の重みがあった。


「刀一本で派手にやる気か?」

レオンが皮肉を飛ばす。

だが風間は応じない。ただ短く頷き、足を進める。


クロエが低く囁く。

「余計な口は利かないタイプね。だが腕は確かよ。」


地下迷宮の扉が開かれる。

湿った空気と、鉄と薬品の匂い。

奥から姿を現したのは、異界因子で造られた実験兵器


鋼鉄の四肢を持つ異形だった。


咆哮。


セリーヌが即座に銃を構え、レオンが重火器を撃ち込む。

だが怪物は壁を砕いて突進してくる。


その刹那、風間が一歩前に出た。

静かに鞘から刃を抜く。音はほとんど聞こえない。

次の瞬間、怪物の動きが止まった。


膝関節と首筋に、正確な斬撃が走っていたのだ。


「……。」

風間は言葉を発さず、刀を振り払い、鞘に納める。


アイゼンが短く息を呑んだ。

「速い……。」


だが戦いの裏で、アリシアはすでに動いていた。

黒衣の姿が研究所の中枢端末を掌握し、光を浴びた装置を抱える。


「“ラストコア”これで異世界の扉は、私の意志で開かれる。」


クロエが叫ぶ。

「止めなさい、アリシア!」


しかしアリシアは一瞥だけ残し、闇の中へと消える。

残されたのは破壊された研究施設と、不気味な静寂だけ。


セリーヌが唇を噛む。

「また……先を越された。」


風間は答えない。


ただ仲間たちを守るように最後尾に立ち、暗い地下道を見据えていた。

その背中には、寡黙な剣士の覚悟だけが刻まれていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ