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【ランキング12位達成】 累計52万6千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:幽騎士城の夜想曲(ノクターン)』

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第4話 復讐の宣言

砂漠の要塞・内部


薄暗い通路に足音が響く。

錆びた鉄扉を越え、チームは旧ソ連時代の要塞内部へと潜入していた。


壁面には最新鋭のセンサーが埋め込まれ、レーザー警報が網の目のように張り巡らされている。


クロエは冷静にデバイスを操作し、赤い光を一瞬だけ消した。


「3秒間だけ通れる。失敗すれば蜂の巣よ。」


セリーヌが息を潜めて滑り込み、レオンが重火器を抱えながらも身を低くする。

「ちっ、俺はステルスより爆破の方が性に合ってるんだがな。」


「だから足を引っ張らないで。」

セリーヌが刺すように返す。


通路の奥、ジャスパーの声が無線に響く。

「監視カメラは一時的にハッキング済み。でも長くは持たない、急げ。」


やがてチームは広間へ出た。そこは巨大なホール。

中央にはコンテナが積み上げられ、壁際には制御装置らしき黒い端末が並んでいた。


その瞬間、冷たい声がスピーカーから響く。


「ようこそ、MI6。そしてDGSE。ここがあなたたちの墓標になるわ。」


アリシアの声。


直後、床が振動した。

コンテナが崩れ、仕込まれた自動タレットがせり出す。

レーザーサイトがチームを狙い、弾丸の雨が降り注いだ。


「罠か!」

レオンが咆哮し、機関銃を乱射。火花を散らしながら敵タレットを次々となぎ払う。


クロエは冷静に制御装置へコードを走らせるが、即座に逆探知され、画面に赤い警告が点滅。

「無駄よ。これは完全に閉じられた回路。」彼女が歯を噛む。


「突破口を作る!」

アイゼンが低く呟き、漆黒の魔力を解放。

障壁が展開し、仲間を覆いながら銃弾を弾き飛ばす。


「撤退だ!」

指揮を執ったのはクロエだった。

「ここで戦えば全滅する。出口へ!」


セリーヌは後方で援護射撃、レオンは前方の障害物を撃ち砕きながら道を切り開く。


ジャスパーが非常回路を強制開放し、シャッターが軋む音を立てて開いた。


だが、背後にアリシアの声が追いかけてきた。


「逃げなさい、MI6。だが忘れないで。これは復讐の序章にすぎないのよ。」


爆発音が響き、通路全体が崩落。

チームは砂漠の夜気へと飛び出し、砂丘の影に転がり込んだ。


荒い息をつくセリーヌに、レオンが笑う。


「やっぱりな、俺の流儀なら派手に突破できたろ。」


「死体の山を残して、ね。」

クロエが冷たく返す。


砂漠の風が吹き抜け、彼らの敗北感を嘲笑うかのようだった。




旧ソ連要塞からの撤退後、MI6チームは砂漠を抜け、臨時拠点で身を潜めていた。夜明け前の空に、突如として巨大な電磁波信号が走る。世界中のネットワークが一斉に掌握され、スクリーンとモニターに同じ映像が映し出された。


漆黒のヴェールをまとったアリシアが、冷徹な瞳で世界を見据えていた。


「私は“オメガ・スフィア”を完成させる。そしてこの歪んだ旧秩序を打ち砕き、新たな世界を築く。アイゼンハワード……お前には必ず“復讐”を果たす。」


その声は、ロンドンの議会ホールにも、ニューヨークの証券取引所にも、北京の軍事司令部にも響いた。


全世界が揺れた。株式市場は急落し、国連安保理は緊急招集。各国の首脳は震える指で情報機関へ指令を下す。


“アリシアを阻止せよ”。


MI6本部ロンドン。

作戦会議室に各国スパイ機関の代表者がホログラムで並び立つ。CIA、DGSE、モサド、BND――そして日本の公安調査庁。

緊張感の中で、クロエ・ルノワールが静かに発言する。


「彼女は声明と同時に、複数の暗号化通信を発しているわ。DGSEの解析システムと照合した結果」


彼女は手元のデバイスを操作し、立体投影に一つの都市名を浮かび上がらせた。


“TOKYO”


セリーヌが目を見開く。

「日本……次は東京を狙うっていうの?」


ジャスパーが苦々しく唸る。

「世界の金融と文化の要衝だ。奴にとって示威行為としては最高の舞台だろう。」


沈黙の中、アイゼンが窓の外を見やった。ロンドンの雨は止み、鈍色の空が広がっている。


「アリシア……これはお前の“復讐の宣言”だな。ならば俺たちは“反撃”で応じる。」


クロエが冷徹な声で締める。

「次の作戦地は決まった。東京だ。」


会議室に緊張が走る。

世界の諜報戦は、ついに極東の都市へと舞台を移そうとしていた。


MI6対異能特務課 機密文書


【極秘任務命令書】

文書番号:BR-Ω/13-01

分類:最高機密/目標殲滅指令

発行元:英国秘密情報部(SIS)本部/対異能特務課

発行日:XXXX年XX月XX日


【任務目的】

対象「アリシア・ヴァルデス」の身柄確保または排除。

同人物は異界由来の兵器技術を強奪し、国際的テロネットワークおよび異界勢力と接触。

放置すれば「オメガ・スフィア事件」を凌駕する規模の世界的危機を招来する恐れがある。


主要目標:

各地で発生している「異界技術の不法取引」を阻止。

アリシア・ヴァルデスおよび関係者を特定・排除。

「異界エネルギー兵器」の回収・封印。


【破壊条件(推奨案)】

現場での交渉・説得は推奨されない。

技術奪還が困難と判断された場合、敵拠点ごと破壊を許可。

一般人被害を最小限に留めること。


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