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完結【50万3千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ14 ―復讐のアリシア再来』

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プロローグ(アリシア視点)

瓦礫の崩れる音が、まだ遠くで響いていた。

紫の残光が、死にかけた都市の心臓の鼓動のように脈動している。


私は膝をついていた。

左腕から流れる血が、瓦礫に染み込み、暗闇に溶けていく。

痛みなどどうでもいい。

私はすべてを奪われた。それがすべてだった。


オメガ・スフィア。私の未来を繋ぐ唯一の鍵。

あれを奪ったのは、かつて仲間と呼んだ者たち。

アイゼンの冷徹な眼差し、セリーヌの純粋な憤怒、ジャスパーの嘲るような笑み。あの瞬間、私の中で何かが決定的に砕け散った。


世界は、まだ気づいていない。

自分たちが救われたと信じているあの夜が、すべての終わりの始まりだったことを。


あの地下で、私は見た。

アイゼンハワードの怪物の姿。

セリーヌの、愚直な正義。

ジャスパーの、したたかな頭脳。


そして……彼らの裏切り。

いや、違う。裏切ったのは私だと彼らは言うだろう。

けれど真実は――私は利用され、捨てられた。

ただそれだけのこと。


オメガ・スフィアを奪われた瞬間から、私の世界は燃え落ちた。

仲間など不要。信頼など無意味。

必要なのは力。


世界を、MI6を、そして奴らを跪かせる圧倒的な力だけ。


だから私は手を伸ばす。

世界中に散らばった「異界技術」。

戦場で拾い上げ、血に染め、己のものとする。

スフィアの残滓を奪い返し、真に起動させる日まで。


その時、世界は再び膝を折るだろう。

正義を掲げた偽善者たちも、冷笑する老魔族も。


これは復讐の物語。

私の名は アリシア・ヴァルデス。

裏切りの女、影のエージェント。


そして次に笑うのは.... 私だ。


紫の光が瓦礫の裂け目から射し込み、私を照らす。

それはまるで、復讐を誓う私にのみ与えられた炎のようだった。


瓦礫を蹴り、私は歩き出す。

血に濡れ、傷だらけの体。

だが心にはもう、迷いはなかった。


崩壊の闇に身を沈めながら、私は影と共に消えていった。

新たな秩序を築く日を、必ず迎えるために。



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