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【ランキング12位達成】 累計56万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:幽騎士城の夜想曲(ノクターン)』

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第9話 最期の記憶 ―騎士団の誓い―

霧深い古城の大広間。

赤い盾を掲げる亡霊騎士団が、無言のまま列を成す。

その鎧は冷たく光り、剣は鋭く空気を切る。


「……くっ、何度倒しても……!」

カズヤの剣が、幽霊の一体を斬り裂く。

しかしその瞬間、斬られた騎士は霧の中から再び立ち上がった。


「無限に……蘇るのか……」

アイゼンハワードは息を整えながら、低く呟く。

その表情には冷徹さと、かつての部下たちへの複雑な感情が混ざっていた。


カズヤの剣が震える。

その内部から、かつての騎士団長セリスの声が響いた。


霧が渦巻く大広間に、重苦しい沈黙が落ちていた。

赤い盾を掲げた亡霊騎士団が、無言で列を成す。

その瞳には憎悪も怨念もなく、ただ「果たされぬ誓い」だけが燃えていた。


アイゼンハワードは剣を構えながら、低く吐き捨てる。

「……まだ、我らに刃を向けるか」


亡霊たちが一歩前へ進む。

その動きは機械のように揃い、冷徹な戦意が空気を震わせた。


カズヤの手の中で剣が震える。

――否、剣そのものが語りかけていた。


『カズヤ……見るのだ。これが我らの最期の記憶』


視界が歪み、カズヤの意識は剣の奥深くへと引き込まれていった。


■■■セリスの過去の記憶 ― 最期の戦場


血に染まる石畳。

燃え落ちる城門。

絶望的な戦況の中、セリスと騎士団は最後の円陣を組んでいた。


「この城はもはや陥ちる。だが、封印だけは守らねばならん!」

セリスの声が響く。


仲間たちは互いに頷き合う。

恐怖はあった。悔恨もあった。

だが、彼らを突き動かしていたのはただ一つ――騎士団の誓い。


『我ら、赤き盾の名において誓う。

王を、民を、未来を護るため、我らが魂すら捧げん。』


その瞬間、血塗られた剣を石碑へと突き立て、

彼らは己が命と魂を封印の鍵とした。


赤い光が閃き、肉体は崩れ落ち、魂は鎖に縛られていく。



■■



意識が戻ると、カズヤの目の前で亡霊騎士たちは次々に立ち上がる。

斬っても斬っても蘇る彼らに、息を切らしながらもカズヤは剣を振るう。


「アイゼン!止める方法は……!」


「……落ち着け。焦るな、カズヤ。彼らは復讐ではない……守るもののために戦っている」

アイゼンハワードの声が低く響く。


剣と剣がぶつかり、鎧の衝撃音が大広間に鳴り響く。


幽霊騎士たちは何度も蘇り、まるで永遠に続く戦いのように二人を追い詰める。


しかしカズヤの心は揺るがない。


セリスの記憶と誓いが、戦う力と冷静さを与えていた。

「……僕たちが、最後まで戦う理由はわかっている」


亡霊騎士たちは叫ぶこともなく、ただ忠誠の炎に縛られ、戦い続ける。

カズヤとアイゼンは互いに視線を交わし、冷徹な戦意を胸に、立ち向かう。


その戦いの果てに、何が待っているのか。

運命の瞬間だった。



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