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完結【50万3千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

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第13話 オメガ・スフィアの異星人たちのラストカウントダウン

オメガ・スフィアが脈動を増すたび、ホール全体が震えた。

紫の光が壁面を走り、カウントダウンの無機質な声が響く。


《残り時間180秒》


カイ・ラヴクラフトの肉体が裂け、漆黒の翼と無数の触手が迸る。

瞳孔は二重に割れ、声は地鳴りのように反響した。


「これが我が真の姿カイクライシスだ!」


圧倒的な闇の奔流が広間を覆い、空間そのものが歪む。

ドローン群も、タレットも、すべて黒渦に吸い込まれ、消滅していった。


対峙するアイゼンは、獣の姿のまま雷を纏い、黒炎を背に立ち上がる。

その巨体が放つ圧は、もはや人のものではなかった。


「……これ以上は、一歩も進ません。」


セリーヌとジャスパーがその背後に立つ。

「アイゼン……!」


「行け! お前たちは門を止めろ。カイは俺が倒す!」


雷と闇が正面から衝突した。

轟音と閃光が走り、床石が一瞬で粉砕される。


カイクライシスの触手が幾重にも襲いかかり、アイゼンの肉体を締め上げる。

だが獣の咆哮とともに、それを雷刃が切り裂いた。


「グォォォォォッ!!」


爪と触手が絡み合い、牙と黒炎がぶつかり、広間は戦場そのものへと変貌する。


《残り時間120秒》


カイクライシスが叫ぶ。

「お前の血は呪いだ! いずれ仲間をも喰らう!」


アイゼンの瞳が灼熱のごとく燃え上がる。

「呪いだろうと……この力で未来を切り拓く!」


雷鳴が天井を突き破り、黒炎が竜巻となって敵を呑み込む。


カイクライシスが最後の一撃として闇の渦を放つ。

「この星ごと滅びよォォォ!!!」


アイゼンは吼えた。

「《ベヒモス・コード 第四式:ヘラクレス顕現・終ノ型》ッ!!」


雷と炎が一条の槍となり、カイクライシスの胸を貫いた。


「な……に……」


闇が弾け、カイクライシスは断末魔の咆哮を残して崩れ落ちた。

広間には、雷の残光だけが残る。


《残り時間60秒》


セリーヌとジャスパーが急ぎスフィアの制御盤に取り付く。

「停止コード入力! あと少し!」


その時、背後でアリシアが静かに銃を構えた。

「……止める必要なんてないわ。」


二人が振り返る。

アリシアの視線はただ一つ――

崩れかける床の奥、なおも紫光を放つオメガ・スフィアへ。


「この力こそ、未来を変える鍵。

 あんたたちが正義を叫ぶ間に、私は掴むのよ。」


セリーヌが叫ぶ。

「アリシア! 戻ってこい!」


アリシアは振り返らず、崩壊する地下へと足を踏み出す。

瓦礫と炎の渦の中、その姿は闇へ消えた。


セリーヌとジャスパーが必死に入力を続ける。

「……あと10秒!」


「止まれぇぇぇッ!」


《カウント停止――オメガ・スフィアの起動中断》


紫の光がふっと消え、ホールに静寂が戻った。


セリーヌは崩れ落ち、深く息を吐く。

「……助かった……でも……アリシアは……」


ジャスパーが苦い顔で呟く。

「奴はまだ生きてる。オメガ・スフィアと共に……」


瓦礫の中、ヘラクレスの姿を解いたアイゼンが立ち上がる。

その体は傷だらけだが、瞳には確かな光が宿っていた。


「勝ちはした……だが、戦いは終わっていない。

 次は敵はアリシアだ。」


崩壊する廃墟の中で、三人は出口へと走り出す。

背後では、なおも地下深くから紫の閃光が瞬き続けていた。



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