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【ランキング12位達成】 累計55万6千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

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第12話 オメガ・スフィア覚醒

ホール全体を覆う轟音。

オメガ・スフィアの表面に走る亀裂は紫の稲光を放ち、異界の門が完全に口を開こうとしていた。


カイ・ラヴクラフトの声が、虚空に反響する。


「この世界は終わる。だが私はその先の王となる!」


次の瞬間、カイの肉体は崩れ落ちるように膨張し、闇の奔流が天井まで突き抜けた。

影が幾重にも折り重なり、無数の腕と触手のような黒い線が蠢く。

その胸には暗黒の球体が脈動し、雷鳴と共に周囲を引き裂く。


《カイクライシス》。

挿絵(By みてみん)

人ならざる、異界の王の姿。


対峙するは、雷と黒炎を纏った巨獣ライカントロス=アイゼン・ハワード。

赤き双眸が敵を射抜き、鋼鉄を砕く爪を構えた。


二人の怪物が、互いの咆哮と共に衝突する。


ドォォォォンッ!!


黒雷と紫炎が炸裂。

床は砕け、ホール全体が震動し、監視装置やタレットは次々と吹き飛ぶ。

まるで世界そのものが二人の衝突を拒絶しているかのようだった。


一方、セリーヌ vs アリシアは対峙していた。


「もう銃はいらないわね……」

セリーヌは銃を放り捨て、ナイフを構える。


アリシアも微笑を浮かべ、ヒールを蹴り飛ばして構えを取った。

「同感よ。あなたとは、こうなる運命だったのかもね。」


二人は影のように駆け、拳と刃が交錯する。

金属音、肉の打撃音、火花。

かつて同じ組織で訓練した二人の技は、互いに完璧に噛み合っていた。


「裏切り者……!」

「理想主義者……!」


激しい打撃の応酬は、友情と裏切り、正義と現実の象徴そのものだった。


ライカントロスの爪が、カイクライシスの触手を切り裂く。

だが触手は瞬時に再生し、逆にアイゼンの巨体を締め上げる。


「グォォォォォォッ!!」


圧倒的な力と力のぶつかり合い。

だが、アイゼンの咆哮に応じるように黒雷が再び全身を駆け抜け、触手を焼き尽くす。


アイゼン(ライカントロス)は咆哮する。

「お前の“秩序”など、ただの支配だ! この血が、未来を切り裂くッ!!」


カイクライシスの胸の黒球が大きく開き、重力の渦が広間を飲み込む。

セリーヌもアリシアも、戦いながら吹き飛ばされそうになる。


ジャスパーが必死に制御盤を叩き叫ぶ。

「あと60秒でスフィアが完全起動する! どっちが勝っても、もう時間がない!!」


揺れる視界の中、アリシアの動きが一瞬止まった。

セリーヌの刃先が首筋をかすめる。


「なぜ……まだ迷ってるの?」


セリーヌの問いに、アリシアの瞳が震える。

「……私は……勝者の側に立つ。それが信条よ……」


だが、彼女の銃口がどちらに向くのかは、まだ定まっていなかった。

広間の中心で、巨獣と異形の王が最後の一撃を放つ。


「《カイクライシス》――!」

「《ヘラクレス顕現》――!!」

二つの力が激突し、世界を引き裂く閃光がホールを飲み込んだ。



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