表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【ランキング12位達成】 累計55万1千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

584/1338

第8話 崩壊都市の空― オメガ・スフィアを巡る地上奪還戦

夜空に火花が散り、ビル群の残骸の上を二機の戦闘スーツが交錯する。

セリーヌのスーツは傷だらけ、HUDには警告が赤く点滅していた。

だが彼女の緑の瞳は、鋭い光を失ってはいない。


正面から迫るアリシア。

黒い戦闘スーツに長い黒髪が舞い、銃口がセリーヌを狙う。

「あなたは優等生ね、セリーヌ。命令通りに従い、正義を掲げる。……でもその正義は、いつも誰かの血で塗られるの。」


セリーヌは息を荒げ、反撃のブレードを振るった。

「裏切り続けるあなたに、正義を語る資格なんてない!」


銃撃とブレードの衝突で、夜空に火花が咲く。

ビルの間を縫うように二人は飛び、時に急降下し、時に急上昇する。


アリシアは一瞬の隙を突いてセリーヌの肩を撃ち抜いた。

戦闘スーツの装甲が弾け、警告音が鳴り響く。


「MI6に拾われた時、あなたはまだ希望を持っていたでしょう。

でも世界はそんなものを許さない。だから私は裏切り続けた――そうしなければ生き残れなかったのよ。」


セリーヌは歯を食いしばり、返す言葉を銃弾に込める。

「それでも……私は信じる!

たとえ何度壊されても、信じることをやめたら、私もあなたと同じになる!」


二人の弾丸と刃が夜を裂き、やがて互いのスーツに致命的なダメージを与えた。


轟音。


二人の戦闘スーツは制御を失い、炎を引きながら墜落していく。

セリーヌは最後の力でパラシュートを展開し、廃墟の高層ビルの屋上に転がり込んだ。


その視線の先には、同じく墜落したアリシアの姿。

黒煙の中、彼女はなおも立ち上がり、冷たい瞳をセリーヌに向ける。


遠く、アイゼンとジャスパーが駆けつける足音が響く。


ジャスパーが無線越しに叫んだ。

「ログを解析した……!アリシアは過去十年、各国のスパイ組織を渡り歩いてる!潜入、裏切り、暗殺……その繰り返しだ!」


アリシアは嘲笑を浮かべ、髪を振り払った。

「そうよ。私は道具として扱われ、切り捨てられてきた。

だから私はもう裏切るしかない....裏切りだけが、私の生き方。」


セリーヌは血を滲ませながらも、銃を構え直す。

「……それでも、私はあなたを止める。あなたの選んだ“裏切りの生き方”が、世界を滅ぼすから。」


その瞬間、ジャスパーの端末が警告音を鳴らす。

「……出た!オメガ・スフィアの座標が完全に確定した!北部廃墟タワーの地下。そこに眠ってる!」


空気が震えた。

遠方の廃墟から、異界のエネルギーが噴き上がり、夜空を照らす。


アリシアはその光を見上げ、唇を吊り上げた。

「やっと……やっと見つけた。」


アイゼンはマントを翻し、仲間たちを守るように立ちはだかる。

「……これ以上は渡さん。オメガ・スフィアは、我らが止める。」


廃墟都市を舞台に、新たな地上奪還戦が始まろうとしていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ