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完結【51万2千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

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第6話 瓦礫都市の大乱戦の死闘

通路を駆ける二人の背後で、カイの笑い声が追いかけてくる。

「逃げられると思うな……オメガ・スフィアは必ず我らのものだ!」


瓦礫を越えた瞬間、無線が割れた。

『おっさん!セリーヌ!早く!非常口まで残り二百メートルだ!』

ジャスパーの声だ。


セリーヌは戦闘スーツのアシストを最大出力に切り替え、瓦礫の斜面を駆け上がる。銃弾が背後をかすめるたび、アイゼンは振り返り漆黒の炎を放ち、追手を焼き払う。


崩壊しかけた地上出口の鉄扉を蹴破ると、眩しい光が二人を包んだ。

腐蝕した空気、灰色の空。汚染都市の地上だ。


だが、終わりではなかった。

地上の廃墟にはすでにネブラの戦闘車両が待ち伏せていた。

エンジンの咆哮、装甲兵士の銃口。


セリーヌは歯を食いしばり、ラストコアを胸に抱きしめた。

「……戦闘は、まだ終わってない。」


アイゼンは赤い瞳を細め、風に舞う灰を見据えた。

「真の地獄は、ここからだ。」


廃墟都市の大乱戦。次なる死闘の幕が上がろうとしていた。


放射能に焼けただれた瓦礫都市。

崩れた高層ビルが斜めに傾き、黒い雨が腐蝕した金属を打ち抜く。

その中心を、MI6特務課の装甲車両が駆け抜けていた。


セリーヌのスーツに組み込まれたフィルターが作動し、HUDに赤い数値が踊る。

「放射線レベル、限界値ギリギリ。急いで通過するしかないわ。」


後部シートでジャスパーは機材を睨みながら呟いた。

「電磁波ノイズが強すぎるな……でも逆に言えば、敵のセンサーもここでは誤作動を起こす。隠密行動のチャンスだ。」


その言葉を嘲笑うかのように――

瓦礫の上から、無数の黒影が跳び降りた。


暗殺者集団シャドウスティング

彼らは闇に紛れる異界の暗殺部隊。

黒い強化スーツに蜂のような装備、腕から伸びる毒刃。

呼吸一つ乱さず、無音で瓦礫を駆け、装甲車両に殺到する。


セリーヌが反射的にハンドルを切る。

車体が横転しかけるほど急旋回し、暗殺者の一人がフロントガラスを叩き割るように迫った。


アイゼンがマントを翻し、赤い炎を放つ。

「チッ、虫けらどもが!」

炎が数人を吹き飛ばすが、残りは蜘蛛のように壁を這い、三次元的に包囲してきた。


「アイゼン、炎で抑えて! 私が突入する!」

セリーヌが叫び、戦闘スーツの胸部を操作する。

装甲車の屋根が開き、彼女は飛び出した。


HUDに映し出されるのはビルの残骸を利用した立体マップ。

セリーヌは瓦礫に設置されたワイヤーを蹴り、空中で反転。

射撃と体術を織り交ぜ、暗殺者を一人ずつ仕留めていく。


ジャスパーの声が無線に響く。

「セリーヌ、右上三時方向!あそこに狙撃手!」


彼女は即座にサイドアームを抜き、HUDが示した方向に射撃。

弾丸が暗殺者のスコープを貫き、瓦礫に黒い血を散らせた。


敵が三人同時に襲いかかる。

一人の刃をかわし、もう一人の喉を肘打ちで砕き、最後の一人を背負い投げで瓦礫に叩きつける。その一連の動きは、訓練ではなく“生存のための戦闘”そのもの。


「……私をただの支援役だと思わないことね。」

息を整えるセリーヌの目は鋭く、緑の瞳が暗闇の中で光った。


周囲の瓦礫に散った暗殺者の残骸。

だが、ジャスパーの声がまだ緊張を孕んでいた。


「……待て。数は減ったが、シャドウスティングは撤退していない。むしろ獲物を追い立ててる。おっさん、セリーヌ、奴らの狙いは……オメガ・スフィアの座標データだ!」


アイゼンは目を細めた。

瓦礫都市の影に、さらなる気配が蠢いていた。

物語は、さらなる深い闇へと突き進んでいく。


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