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【ランキング12位達成】 累計53万7千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

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第4話 地下研究施設

潜入 試練の迷宮へ


夜の灰色都市。地表の下に広がる廃坑の奥。

そこには、かつて軍事同盟が極秘に建造した研究施設が眠っていた。

その最深部に「ラストコアの制御装置」が隠されていると諜報網が掴んだ。


冷たいコンクリートの通路を、アイゼンハワードとセリーヌが音もなく進む。

無線から聞こえるのは、ジャスパーの軽薄な声だ。

「さぁて、ご両人。命知らずの冒険タイムだぜ。僕がナビゲートするから安心して進め。……死ななきゃな!」


セリーヌは肩越しに息をつき、スーツのHUDを展開する。

「冗談は後でいいわ。今は集中して。」


【第一の試練 ― 図像パズル】


二人の前に立ちはだかったのは、鋼鉄の大扉。

表面には13の光るルーンが並び、ひとつを押すたびに迷路のような光が走る。


ジャスパーが無線で告げる。

「これは“異界式連動迷宮パズル”だ。アルゴリズム的には迷路解法なんだけど……ただし間違ったルーンを押すと、爆破センサーが起動するタイプだね。やべーやつ。」


セリーヌが手を伸ばしかけるが、アイゼンが制止する。

赤い瞳がルーンを読み取り、静かに呟いた。

「これは単なるゲームではない……魔族の叙事詩の断片だ。

“月を撃ち落とした矢の後に、太陽は生まれる”――

順番は、弓・矢・太陽だ。」


セリーヌが指示通りにルーンを押す。光の迷路は正しい道を描き、扉が重く開いた。


【第二の試練 ― 崩れる床】


扉の先は、広間一面に光るタイルの床。

一歩進むとタイルが軋み、奈落が口を開ける。


「圧力感知式だな。」と無線のジャスパー。

「でも大丈夫、スーツのHUDで重力の揺らぎを補足できるはずだ。セリーヌ、数歩先だけど安全タイルをマークしてやる。」


HUDに光のラインが浮かび上がる。だが先は霧のように途切れている。

「ここから先は私の判断次第ってわけね……!」


セリーヌは深呼吸し、疾風のように跳躍する。

左、右、斜め前。瞬時のルート判断でタイルを踏み抜き、崩れる床を紙一重で回避していく。

背後から崩落音が轟き、塵煙が押し寄せる。


アイゼンは彼女の後を追い、魔族の俊敏さで飛び越える。

「人間にしては悪くない判断力だ。」


「褒め言葉として受け取っておくわ!」


【第三の試練 ― 音響コード】


広間の最奥、最後の扉には奇妙な装置が埋め込まれていた。

小さな穴から低音が漏れ出し、不気味な共鳴が壁を震わせている。


ジャスパーの声が緊張に震える。

「音声コード式だ。人間の声じゃ無理だな……でも、アイゼンなら――」


アイゼンは目を閉じ、低く古代魔族の言葉を口にする。

「門よ開け、我は旅人。太陽を携えし者なり。」


彼の声が周波数と共鳴し、扉全体が紫に輝いた。

轟音とともに封印が解け、最深部の広間が姿を現す。



中央に鎮座するのは、黒曜石のような球体。内部で紫光が脈動し、周囲の空間が歪んでいる。


セリーヌが息を呑む。

「これが……ラストコアの制御装置?」


アイゼンの赤い瞳が鋭く光る。

「いや、これは模造品だ。“オメガ・スフィア”を制御するための疑似核……誰かが人間界に意図的に残した罠だ。」


その言葉を遮るように、拍手の音が響いた。

闇の中から、長い黒髪の女が現れる。

冷たい瞳、洗練された戦闘服。アリシア・ヴァルデス。


「さすがね、アイゼンハワード。

でもこれは私のもの。あなたたちは、ただの捨て駒よ。」


警報が鳴り響き、黒い戦闘スーツの部隊が次々と敵が現れる。

そして、最初の銃声が、地下を震わせた。


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