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【ランキング12位達成】 累計56万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:魔導列車殺人事件 〜列車内で消えた凶器〜』

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第2話 オメガ・スフィアの影

ロンドン、テムズ川沿い MI6本部


ガラス張りの建物は朝の霧に包まれ、外見だけは静謐な官庁のように見えた。

だが内部では、世界の存亡を左右する議題がひっそりと進行していた。


円形のブリーフィングルーム。

中央のホログラム投影機には、荒廃都市の衛星映像と、異界の裂け目が立体映像として浮かび上がる。

その中心に脈動する紫の球体


オメガ・スフィア。


挿絵(By みてみん)


ざわめく声が飛び交う。

「核反応に類似したエネルギーパターンだが……人類の兵器体系では説明不能だ。」

「観測データを共有しただけで三つの研究班が精神錯乱を起こしたぞ。あれは情報そのものが毒だ。」


特務課の席には長机の一角に三人が並んでいた。


ジャスパーは工具バッグを椅子の横に置き、足を組みながらスクリーンをにやにや眺めている。セリーヌは姿勢を正し、緑の瞳でデータを食い入るように追いかけている。その隣、ワインレッドのマントを肩にかけたアイゼンハワードは腕を組み、沈黙を守っていた。


ブリーフィングの責任者が彼に視線を投げる。

「ベルデ・シュトラウス諸君……君は魔界の伝承にも通じていると聞いている。オメガ・スフィア、これは本当に“終焉の種”なのか?」


赤い瞳がホログラムを射抜いた。

「……伝承では、スフィアは星を“選別”すると言われている。

存続する価値があるかどうかを測り、なければ消去する。

つまり我々は、試されている。」


沈黙が支配する。

その言葉を軽々しく否定できる空気ではなかった。


ジャスパーがタブレットを操作し、不鮮明な映像を拡大する。

そこには裂け目の前に立つ女性の輪郭がかすかに映っていた。

「……これが問題だ。」


セリーヌが目を見開く。

「女……宇宙人? まさか異界の住人?」


「いや……」

アイゼンハワードは目を細める。

「人間の“形”を保っている。だが視線は……異界の主と同じものを宿していた。」


指先が無意識にポケットの保湿クリームを弄る。

それはただの癖。だが彼の心中に走る冷たい予感を隠すことはできなかった。


女性はアリシア。

彼女は幻のように現れ、オメガ・スフィアの前で微笑んで消えた。

敵か、駒か、それとも……終焉の鍵か。


上層部の声が冷たく響く。

「目標は二つ。オメガ・スフィアの解析、そして女の身元の特定だ。

MI6対異能特務課ブラック・リザレクション、君たちに正式に任務を与える。」


セリーヌが背筋を正す。

「了解。」


ジャスパーはにやりと笑い、工具バッグを叩く。

「俺の発明で女の正体を丸裸にしてやるさ。」


アイゼンハワードは赤い瞳を伏せ、ゆっくりと立ち上がる。

「……また厄介な舞台に呼ばれたものだ。

だが、終焉の影を前に座して死ぬ趣味はない。」


マントが翻り、会議室の空気を切り裂いた。


テムズ川を見下ろす窓の外、夜空に紫の揺らめきがかすかに映る。

世界の終焉は、静かに忍び寄っていた。


MI6対異能特務課 機密文書

【極秘任務命令書】

文書番号:BR-Ω/13-01

分類:最高機密/目標殲滅指令

発行元:英国秘密情報部(SIS)本部

発行日:XXXX年XX月XX日


【任務目的】

本機密任務は、地球圏に出現した終焉級異界存在 《オメガ・スフィア》 の即時無力化・破壊を目的とする。本存在は異常なエネルギー波動を放出し、既知の科学・魔術体系を超越する。放置した場合、人類文明は72時間以内に壊滅的消去を受ける可能性がある。


【観測結果概要】

対象は紫黒色の球体構造を持つ。直径:約1.8m。

表層に不規則な幾何学紋様が出現・消失を繰り返す。

脈動周期は約66秒。周期ごとに周辺空間の時間的歪曲を引き起こす。

接触した対象は存在痕跡ごと消失(物質・記録・記憶を含む)。


破壊条件(推奨案)

異界由来の力を持つ個体による直接干渉。

超高出力次元干渉兵器(コードネーム《プロメテウス・アーク》)の同時照射。

魔族サターン系統特有の波長との共鳴を利用し、対象の“審判プロトコル”を撹乱する。


作戦部隊編成

指揮官:アイゼンハワード・ベルデ・シュトラウス(対異能特務課所属)

技術支援:ジャスパー・クロウリー(特殊兵装開発)

現地工作員:セリーヌ・ハートマン(MI6若手エージェント)

※補足:裂け目付近に観測される謎の女性(コードネーム《アリシア》)は対象の制御因子と推定。捕獲または排除を許可する。


【任務遂行命令】

「MI6は人類存続のために、いかなる犠牲をも厭わない。オメガ・スフィアの破壊を最優先せよ。成功すれば世界は延命する。失敗すれば歴史そのものが消滅する。」


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