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【ランキング12位達成】 累計55万6千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:ミステリアスツアー殺人事件』

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第10話 黒鋼の巨兵との死闘

砂漠の実験場の奥深く。


アレクシス財団の中枢は、鋼鉄と黒いガラスで築かれた要塞のような構造体だった。壁一面に浮かぶ無数のホログラムモニターには、世界各地の異能兵器工場、研究所、軍事基地が映し出される。


「ついに目覚める……我が“世界秩序”の礎が」

黒幕の声が響く。

アレクシス財団総帥、仮面の巨影。

その手に握られた端末が、全世界異能兵器ネットワークの起動キーだった。


爆発。


壁が吹き飛び、炎と砂塵の中からアイゼンハワードとリディアが躍り出る。

背後ではジャスパーの声が無線を駆け抜ける。

「急げ! ネットワークは起動まであと4分だ!」


セリーヌの狙撃が天井から降り注ぎ、敵兵を次々と撃ち抜く。

「道は開けた! 今よ!」


アイゼンが飛び込み、リディアが追随。

銃弾が火花を散らし、砂嵐が吹き込み、ホログラムがノイズに揺れる。


黒幕が端末をかざすと、要塞全体が震えた。

床から突き上がるように現れたのは、

黒鋼の巨兵、自律防衛システム「アレクシス」。


挿絵(By みてみん)


人型兵器の全身に異能結晶が埋め込まれ、火炎・雷撃・重力波が交互に解き放たれる。


「小細工は無駄だ。世界は“戦争”によって浄化される!」


アイゼンが銃を乱射するも、弾丸は防御結界に弾かれる。

リディアはナイフを閃かせ、巨兵の関節を切り裂くが、逆に雷撃に弾かれて吹き飛ばされた。


「くそっ、化け物め!」

アイゼンは全身を砂まみれにしながら立ち上がり、赤い瞳を光らせる。


鋼鉄の巨兵が轟音とともに目を覚ます。

天井から巨大な結晶が脈動し、床が裂け、漆黒の機械巨兵が姿を現した。


最終防衛システム《アレクシス》。

全世界の異能兵器ネットワークを束ねる、“戦争の心臓部”。


アイゼンハワードとセリーヌとリディアが 突入した。


「残り4分! 止めなきゃ終わりだ!」

ジャスパーの怒声が無線を走る。


「了解!」

セリーヌがライフルを構え、正面から乱入。

狙撃手のはずの彼女が、炎の中を駆け抜け、援護射撃を浴びせる。

「今は後方なんて言ってられないわ!」


リディアはナイフを逆手に構え、アイゼンは二丁拳銃を抜く。

四人は一斉に《アレクシス》へ挑んだ。


《アレクシス》が咆哮を上げる。

雷撃の嵐が天井を砕き、重力波が床をひしゃげさせ、炎の槍が次々と放たれる。


セリーヌの弾丸は一度、二度、命中するも結界に弾かれる。

「ダメッ、効かない!」

「ならば……砕くしかない!」

アイゼンが赤い瞳を輝かせ、弾倉を撃ち尽くす勢いで弾幕を放つ。


リディアは異能結晶の関節部を狙い、刃を突き立てる。

しかし、振り払われ、コンクリートの壁に叩きつけられた。


「リディア!」

アイゼンが叫んだ瞬間、重力波が襲い、床ごと彼を押し潰そうとする。


セリーヌが間に飛び込み、衝撃波を浴びながらも銃を乱射。

「まだよ、倒れるな……おっさん!」


ジャスパーが必死にシステムをハッキングする。

「動きを止めろ! あと120秒で中枢をハイジャックできる!」


セリーヌが叫ぶ。

「二人とも、あたしが正面を引きつける! その隙に心臓部を!」

彼女はライフルを捨て、奪ったサブマシンガンを二丁構えて突撃。

銃火の嵐が《アレクシス》の視覚センサーを覆い、火花が散る。


「さすがだ、セリーヌ!」

リディアが背後を駆け抜け、アイゼンが並走。


二人が同時に跳び、結晶の心臓部へと刃と弾丸を叩き込む。


轟音。


巨兵の装甲が剥がれ、青白いエネルギーが吹き出した。



だが《アレクシス》は止まらない。

最終モードが起動し、全身が黒光りする。

巨腕がうなりを上げ、セリーヌを殴り飛ばす。

「ぐっ……!」

鮮血が宙を舞い、彼女は床に叩きつけられ動けなくなる。


「セリーヌ!」

アイゼンが駆け寄ろうとしたその瞬間、黒幕の銃口が彼を狙った。


「ここまでだ、アイゼンハワード!」

閃光。

黒幕の銃口が、アイゼンを正面から捉えた。


「さあ、貴様も歴史に沈め──」


その瞬間、リディアが飛び込む。

銃声。

紅い雫が宙を舞い、彼女の身体がアイゼンの胸元に崩れ落ちた。


「リディア……!」

おっさんの声が砂嵐に消える。


震える手で彼女を抱きかかえると、リディアは血のついた唇で微笑んだ。

「私は……おっさんを……信じたわ」


その瞳から光が零れる。


その言葉とともに、彼女の瞳から光が消えていった。


「ジャスパー! 今だ!」


「ハッキング完了ッ!」


《アレクシス》の心臓部が爆裂し、巨兵が絶叫を上げながら崩れ落ちる。

要塞全体が炎に包まれ、砂嵐の中へ崩壊していく。


アイゼンはリディアを抱え、瀕死のセリーヌを引きずりながら出口へ走る。

背後では黒幕の影が炎に沈んでいった、だが、本当に消えたのかは誰にもわからなかった。




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