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【ランキング12位達成】 累計54万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:ミステリアスツアー殺人事件』

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第8話 仮面の同盟

ドバイ、深夜。


砂漠の夜景にガラスの巨塔が突き立つ。アレクシス財団が秘密裏に占拠した高層ビル。内部はまるで要塞のように警備され、戦車の取引データが地下サーバーに保管されていた。


アイゼンは破れたトレンチコートを直しながら、摩天楼を見上げる。

耳元からジャスパーの声が響く。


「地下サーバーに入れば、アレクシス財団の取引リストを奪える。ただし……そこは蜂の巣だ」


「承知の上だ」

おっさんの赤い瞳が、戦火を生き抜いた獣のように光る。


そのとき、背後から声がした。

「その仕事、私も同行させて」


振り向くと、リディアが立っていた。黒のドレスにライフルを携え、夜風に髪をなびかせる。

彼女の緑の瞳には、裏切りの影と、消しきれない情が揺れていた。


アイゼンの拳がわずかに震える。

「裏切り女が……今さら何を企んでいる?」


リディアは微笑む。

「信じる必要はない。ただ、敵は同じよ。....今は」


一瞬の沈黙。

やがてアイゼンは舌打ちし、背を向けた。

「……勝手にしろ。ただし、裏切れば撃つ」


高層ビル内戦闘


二人は無言のまま侵入。

エレベーターのワイヤーを滑り降り、監視ドローンを素手で破壊。

ガラス張りのフロアで銃撃戦が始まる。


敵の部隊が雪崩のように押し寄せる。

リディアはナイフで喉を切り裂き、アイゼンは二丁拳銃でガラス越しに撃ち抜く。

流れ弾が美術品を粉々に砕き、豪奢なシャンデリアが落下して爆炎を上げた。


ジャスパーの声が飛ぶ。

「屋上にヘリの着陸痕あり! そこから逃げろ!」


二人は爆発の炎を背に、階段を駆け上がる。


深夜の屋上、ドバイの摩天楼を背に、砂漠の風が吹き荒れる。

装甲兵が待ち構え、ナイトビジョンが緑色に光る。


リディアがライフルを構え、アイゼンが拳銃を投げナイフ代わりに突き刺す。

肉弾戦が始まり、屋上の縁で敵兵が次々と落下していく。

眼下には数百メートルの夜景。落下する兵士の影が、まるで流星のように消えていった。


敵の最後の一人が、アイゼンを鉄骨に押し付けた瞬間

リディアが背後から撃ち抜いた。


一瞬だけ、アイゼンとリディアの視線が交差する。

信じていいのか、互いに迷いながらも背中を預けていた。


ビルを脱出すると、待ち構えていた装甲車部隊。

二人は黒いスポーツカーを奪い、砂漠のハイウェイへ飛び出す。


戦車の砲弾がアスファルトを爆裂させ、装甲車が後方から猛追。

アイゼンは片手でハンドルを切り、もう片手で拳銃を撃つ。

リディアは助手席でサブマシンガンを構え、後方を薙ぎ払う。


火花が散り、砂漠に轟音が響く。

最後にアイゼンは車をスピンさせ、迫る戦車を誘導。

戦車は味方の装甲車に激突し、大爆発を巻き起こした。


砂漠の夜空を炎が染める中、スポーツカーは疾走を続けた。


逃走の後、荒野に車を止めた二人。

赤い瞳と緑の瞳が、炎の残光に照らされる。


「……君をまだ信じていいのか?」

アイゼンの問いに、リディアは視線を逸らし、夜風に髪を揺らした。


「答えは、いずれ分かるわ」


二人の間には、信頼でも裏切りでもない、仮面の同盟が結ばれた。

砂漠の彼方には、アレクシス財団という巨大な影が、さらに暗く広がっていた。



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