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【ランキング12位達成】 累計55万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:ミステリアスツアー殺人事件』

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第7話 裏切りのマーケット

砂漠の夜に浮かぶ巨大都市、ドバイ。


煌びやかな摩天楼の影で、廃倉庫群を改造した秘密の武器マーケットが開かれていた。並ぶのは次世代戦車、装甲車、ドローン群、人類を滅ぼす兵器のショーケースだ。


アイゼンは暗闇からそれを見据える。

耳元のイヤーピースから、ジャスパーの落ち着いた声が響いた。


「正面は無理だ。西側のコンテナ群を抜ければ、会場の中枢に出られる。そこに奴らの司令部があるはずだ」


赤い瞳がギラリと光る。

「了解した。セリーヌ、カバーを頼む」


高台に陣取るセリーヌが応じる。

「いつでも撃てるわ。あなたは突っ込むだけでいい」


アイゼンはマントを翻し、影の中を滑るように侵入する。

だが、その瞬間。


ライトが一斉に点灯。


眩い光の中、会場中央に立っていたのは黒いドレスの女。

リディア・マルセリーヌ。


「ようこそ、アイゼン」

彼女は最初から彼の潜入を読んでいた。


次の瞬間、轟音と共に戦車の砲塔が回転し、装甲車の機銃が火を噴いた。

砂塵が舞い、鉄の嵐が会場を覆う。


「クソッ、罠か!」

アイゼンは柱の陰に飛び込み、銃を乱射。

セリーヌの狙撃が敵兵を次々と倒すが、数は圧倒的だった。


ジャスパーの声が響く。

「アイゼン! 右手の搬入口から逃げろ。戦車が二両、こっちに向かっている!」


アイゼンは煙幕を投げ、疾走。

背後で戦車の主砲が炸裂し、爆風が建物を揺らす。

鉄骨が崩れ、炎と砂煙が視界を覆った。


その中で、リディアの声だけが冷たく響く。

「あなたは“真実”を求めた。でも、この舞台は私のものよ」


アイゼンは銃を撃ち返しながら叫ぶ。

「リディア……お前まで敵に堕ちたというのか!」


リディアは微笑む。

「堕ちた? いいえ、私は最初からこちら側だった。ただ、あなたに見抜けなかっただけ」


セリーヌが叫ぶ。

「アイゼン、時間がない! 撤退して!」


アイゼンは苦渋の決断を下す。

仲間を失わず、真実を掴むためには今は退くしかない。


彼は爆発で生じた瓦礫の隙間を駆け抜け、夜の砂漠へ飛び出した。

背後では、戦車の砲撃とリディアの冷笑が響く。


「逃げなさい、アイゼン。あなたの役は、まだ終わらない」


砂漠の夜風が彼のマントを翻す。

仲間の声がイヤーピース越しにかすかに届く。

命からがらの逃走――だが、心の奥に刻まれたのは、愛と裏切りの痛みだった。



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