第6話 セーヌ川でモーターボートチェイス
パリの夜。エッフェル塔の光がセーヌ川に反射し、川面はまるで銀色の鏡のように揺れていた。
アイゼンハワードはリディアとともに、川沿いの倉庫街で敵エージェントと遭遇する。
「ここまでだ!爆破犯のアイゼンハワード!!」
背後から響く銃声。敵は無数の手下を伴い、川岸から追い立てるように銃撃してきた。
川沿いに停泊中の二人はリディアが用意していたモーターボートに乗せて、セーヌ川を縦横無尽に駆け抜けながら、敵と死闘を繰り広げる。
セーヌ川の水面が激しく波立つ。アイゼンはモーターボートのハンドルを握り、全速力で川を駆け抜ける。水しぶきが顔に叩きつけられ、夜風が髪を切り裂くように吹き付ける。
アイゼンは舵を握り、全力でボートを蹴り出す。川岸の灯りが流れるように過ぎ去り、水しぶきが顔に叩きつけられる。
「リディア、左から迫ってくる!」
彼女が叫ぶと同時に、敵の高速ボートが追撃にかかる。機関銃の弾丸が水面を叩き、波しぶきが火花を散らす。
アイゼンは川面の小さな段差を利用してジャンプ。
モーターボートは一瞬宙に浮き、着水した瞬間、波が飛び散り敵の視界を奪う。
リディアは背後から飛び上がり、投げたナイフで追いかける敵のエンジンを精密に撃ち抜く。
「左だ! 追い手が二艇!」
リディアの声。
彼女は後部座席から機関銃を構え、敵のボートに連射を浴びせる。弾丸が水面を割り、波が敵の視界を遮る。
アイゼンは巧みに川岸の障害物を利用し、急旋回。橋脚の下に潜り込むと、上から敵が迫る。リディアはナイフを投げ、敵の船外機を精密に撃ち抜き、炎が小さく上がった。
「今だ、激突するぞ!」
二艇のモーターボートが激突する瞬間、アイゼンは跳び蹴りで敵を水中に叩き落す。リディアもボートの縁に飛び移り、敵の銃を奪って反撃。
川面には爆発の光と水煙が渦巻く。
追撃者は次々に水しぶきの中に沈み、ボートは水煙に隠れて消える。だが、残党はまだ諦めない。
アイゼンはハンドルを切り、狭い水路を縫うように突進。リディアは川面すれすれで体を低くし、銃とナイフで攻撃を交互に仕掛ける。水飛沫の中で弾丸が光り、刃の閃光が夜空を裂く。
橋の下をくぐる瞬間、敵のボートが後ろから飛びかかる。
アイゼンはボートを斜めに傾け、リディアは跳躍して敵の操縦者を押し倒す。
水しぶきと爆発が視界を遮る中、二人は息を合わせ、連携無双を展開。
「これで終わりじゃないわ!」
リディアの声と共に、最後の追撃艇が橋脚に激突し炎上。
アイゼンは深く息をつき、川面を見渡す。夜のパリが、まるで映画のセットのように光と影に包まれていた。
「……ふぅ、久しぶりに熱い戦いだったな」
リディアは川面を見つめ、砂のような静かな声で呟く。
「でも、これで終わりじゃない。次は……」
手元の端末が光る。画面に映ったのは、砂漠の夜景に浮かぶ巨大都市、ドバイ。
そこには、最新鋭の武器が並ぶマーケットの映像と、黒幕企業アレクシス財団のロゴ。
「……アレクシス財団。次はここで暗躍するつもりね」
アイゼンの瞳が赤く光る。
「ならば、我々も準備を始めるしかないな……リディア」
川面に映るエッフェル塔の光が、二人の決意を静かに照らしていた。




