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【ランキング12位達成】 累計56万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:ミステリアスツアー殺人事件』

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第7話 真実に近づく影

嵐の夜。廃墟ホテルの待合室。ランプがちらつき、揺れる影が壁に踊っていた。

クラリスは泣き腫らした目を伏せ、カズヤに打ち明ける。


「母は……支配人に口止めされていたの。『余計なことを言えば家族ごと破滅させる』って。だから、事件のことは何も話せなかった。でも……夜中に聞いてしまったの。“セリーヌは失踪なんかじゃない、犠牲になったんだ”って……」


カズヤは深く息をつき、言葉を選ぶ。

「犠牲……つまり、誰かの手によって……」


その時、歴史研究家テオがノートを開き、震える声で口を挟む。

「……僕も調べていた。セリーヌには“兄”がいたんだ。幼い頃に養子に出され、記録から消えていたけれど……。事件当時、その兄がこの辺りで目撃されている」


一同が息を呑む。

「兄……」クラリスが呟いた。


テオは続ける。

「名前は伏せられていて、表の資料では分からない。でも、確かに存在していた」


カズヤの視線が自然とルネに向かう。無口な運転手。妙に落ち着き払った態度。何より、冷たい目の奥に潜む何か。


「……まさか、彼が……」クラリスが口にしかけた瞬間、


「断定は早計じゃ」

アイゼンハワードの低い声が遮った。


祖父は懐から古びた革の手帳を取り出し、カズヤにだけ聞こえる声で囁いた。

「カズヤよ、MI6の旧コードをまだ使える。これを経由すれば、彼の過去を洗えるじゃろう。だが……結果がどう出るにせよ、油断はならん」


カズヤは頷く。

「証拠を掴むまでは、疑いを決定づけるわけにはいかない……」


窓の外で稲妻が閃き、犯人の影が壁に大きく伸びた。

その影は誰よりも孤独で、復讐を秘めているように見えた。


廃墟ホテルの一角。ランプの薄明かりの下で、カズヤとアイゼンハワードは小型の受信機を囲んでいた。


ノイズ混じりの通信が入る。祖父が古い暗号を入力すると、低い機械的な声が応答した。


 ≪こちらMI6。照会対象者の記録を送信する。≫


カズヤは身を乗り出す。

「……で、どうなんですか?」


返ってきた内容は予想外だった。


≪元軍属。戦地での運転・護衛任務に従事。優秀な実績を持つが、10数年前に除隊。その後の記録は途切れている。……血縁に関しては、セリーヌとの“直接の証拠”は確認できず≫


「証拠が……ない?」カズヤは眉をひそめた。

 アイゼンハワードが深いため息を吐く。


「無罪とも有罪とも断定できぬ。つまり、これは“隠された過去”じゃな」

無線が途切れ、部屋に再び静寂が落ちた。


その時、ホテルの上階からかすかな足音が響いた。重い床板がきしむ音。

「……まただ」カズヤが顔を上げる。


「狙われておる者がいる」

祖父の声は低く冷たい。


二人は顔を見合わせ、即座に動いた。


暗闇の廊下を走り、三階の客室前に身を潜める。窓の外は嵐。雷鳴が轟き、影が壁を走る。


「ここに誰か来る……犯人は“次の見せしめ”を仕掛けようとしている」

カズヤは息を潜める。


「ならば迎え撃つまで。死人に裁かれる前に、生者の手で止めねばならん」アイゼンハワードが古びた拳銃を静かに構えた。


廊下の奥、ゆっくりと人影が近づいてきた。

足音。

呼吸。

そして金属の刃がランプの光を反射する。


「来た……!」カズヤの心臓が跳ねる。


祖父が囁いた。

「よいかカズヤ……真実を暴く覚悟はあるか?」


カズヤはうなずいた。

「もちろん」


廃墟の廊下で、彼らの待ち伏せが始まった。

犯人を追い詰めるための、静かで危険な夜の攻防が。


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