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【ランキング12位達成】 累計55万9千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:オルゴールは死を奏でる』

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第4話 カジノ・ロワイヤル決勝戦

エレベーターが静かに停止し、真鍮の扉が左右に開く。

その瞬間、アイゼンハワードの視界いっぱいに広がったのは、宝石の中に閉じ込められたかのような円形のホールだった。


天井から吊るされた巨大なクリスタルシャンデリアは、無数の光の粒を床に散らし、磨き上げられた黒大理石がそれを鏡のように反射している。

壁面は曲線を描きながら、金箔と漆塗りのパネルで覆われ、中央の円形テーブルをまるで玉座のように囲んでいた。


テーブルの表面は深い緑のフェルトで覆われ、そこにだけ一点、冷たいスポットライトが落ちている。光と影の境界に座るプレイヤーたちの表情は半分闇に沈み、半分だけがきらめく。それはまるで、この場に集まった者の“二重の顔”を象徴しているかのようだった。


周囲の観覧席には、世界各国の裏社会の重鎮たちが並び、ワインやシャンパンのグラスを手にしながらも、その目は笑っていなかった。


遠くの窓からは火山島ヴルカーノの夜景が望め、時折、火口の赤い閃光が差し込んで会場を不吉に染める。


そして、テーブル中央には、山のように積み上げられたチップタワーと、金塊や宝飾品のディスプレイケース。

これが、この夜ただ一人の勝者が手にできる“莫大な富と権力の象徴”だった。


ディーラー(Dealer)が、静かに告げる。

「Gentlemen… welcome to the Final Table of Casino Royale.」

その声は氷のように冷たく、しかし熱い血を呼び起こす。


アイゼンハワードは深く椅子に腰を下ろし、カードの感触を確かめるように指

先でテーブルを叩いた。


ここが、最後の戦場だ。


【参加者】

①アレクセイ・モロゾフ:ロシアン・マフィアの冷酷な幹部。

②リー・ジャン:中国系武器商人。計算力と記憶力は人間離れ。

③サイード・アル・ファリド:中東の石油王の甥。資金力と強気な勝負で知られる。

④ジョルジオ・フェラーリ:イタリアンマフィアの若きドン。感情的で短気。

⑤アイゼンハワード・ヴァル・デ・シュトラウス:MI6最古参の魔族スパイ。


第1ハンド:探り合い

アイゼンハワードの手札は、ハートのキングとクラブのジャック。

場にはハートの10、クラブのクイーン、スペードの2。

ストレートまであと一枚。


彼は小さくベット。

ジョルジオが即座にレイズしてくる。

「ブラフだな」

そう読んだアイゼンハワードはリバーまで粘る。

最後にスペードの9が落ち、ストレート完成。

ジョルジオは笑顔でオールインするが、カードを開いた瞬間、その笑みが固まった。


第3ハンド:サイドとの対戦

手札はスペードの7とハートの3。

だがフロップでスペードが三枚並ぶ。

ここでアイゼンハワードはあえて大きくベットし、フラッシュを装う。


サイードが慎重にコールするも、ターンでスペードのエースが落ち、彼の表情が強張る。

実際にはフラッシュは完成していないが、リバーでも強気を貫き、サイードを降ろしてチップを奪う。


中盤:リー・ジャンとの頭脳戦

リーの手札は分からない。

しかし彼は、相手のベットパターンを読み取り、僅かな癖を突く名人だ。


フロップで場にハートが三枚並び、リーは静かにベット。

アイゼンハワードはポーカーフェイスのままコール。

ターンでクラブのキングが落ち、手札のキングと合わせてツーペア。

ここで大きくレイズをかけ、リーを試す。


リーは一瞬だけ視線を逸らし――フォールド。

わずかな動揺が、アイゼンハワードの勝利を決定づけた。


終盤:アレクセイとの一騎打ち

残るプレイヤーはアレクセイとアイゼンハワード。

手札はハートのキングとダイヤのキング。

フロップでさらにキングが落ち、スリーカード完成。


アレクセイは冷徹にオールイン。

観客席が息を呑む中、アイゼンハワードは迷わずコール。

ターン、リバーともにアレクセイを助けるカードは出ず


勝負あり。


巨大なチップタワーが、音を立ててアイゼンハワードの前に滑り込む。


アイゼンハワードがカジノポーカー大会で優勝をした。


優勝者へ副賞の黒い封筒が差し出される。

「VIPポーカールームへようこそ」

金の文字が光を受けて不吉に輝いた。

その扉の奥には、さらなる危険と陰謀が待っていた。



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