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【ランキング12位達成】 累計53万PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:オルゴールは死を奏でる』

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第8話 静寂の証拠と微かな足跡

薄雪が静かに降り積もる屋敷の庭。カズヤとアイゼンハワードは、先日の隠し部屋の発見を胸に再調査に臨んでいた。


「まずはオルゴールからだ」

カズヤが慎重に古びたオルゴールを手に取る。


ゼンマイの巻き具合を調べると、不自然にぎゅっと巻かれていることに気づいた。


「これは犯人が事前にセットしていた可能性が高い。通常の使い方とは明らかに違う」

隣でアイゼンハワードが頷く。


「オルゴールの終わりに合わせて、何かの仕掛けを動かそうとしていたのだろう」

次に二人は時計塔の機械室へ向かい、マルク・ラグナスが設計した鐘の仕掛けを詳しく調べた。


「この滑車やワイヤーの配置は複雑だ。マルクの手によるものだが、彼は何者かに脅されていたという証言もある」

カズヤは無言で小さな傷跡や細かな歯車の欠けを確認した。


「マルクの死は単なる事故ではない、殺害の可能性が濃厚だ」


中庭の雪を調べていると、カズヤが何かを拾い上げた。


「これは……ギヨームの手袋の切れ端だ。塔の階段で発見された」


ギヨームは厳しい表情で口を閉ざし、その話題を避けようとする。


「何か隠しているようだな」

とアイゼンハワードが眉をひそめた。


フロランスはクラウディアの監視役だが、その態度はどこか秘密めいている。


彼女の細かな証言は曖昧で、時折視線を逸らす。


イザベル・ヴェルネの動きも謎に包まれている。


かつての修道院の秘密と繋がる過去の影がちらつき、彼女の心の奥底に何かが隠されているのは明らかだった。


レオンは密かにカジノ通いを続けていることが判明し、莫大な財産を巡るトラブルが動機の一端として浮上していた。


「彼の笑顔の裏には、多くの秘密が隠されている」

カズヤが呟く。


アイゼンハワードは屋敷の面々を静かに見渡しながら言った。


「この屋敷には、嘘と偽りが渦巻いている。真実は、ほんのわずかな証拠の断片から姿を現すものだ」


冷たい風が吹き抜け、鐘の音が遠くで響く。

証拠の欠片が揃い始めるにつれ、犯人への糸口が確かに見え隠れしていた。


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