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【ランキング12位達成】 累計54万2千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『カズヤと魔族のおっさんの事件簿:オルゴールは死を奏でる』

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第1話 沈黙の修道院

挿絵(By みてみん)

山岳地帯を越え、霧の谷を抜けると、切り立つ崖の上にそれは忽然と姿を現した。重厚な石造りの邸宅。かつて神に仕えた修道女たちの祈りの場。

今は、ヴェルネ家の冬の別邸である。


挿絵(By みてみん)


古びた鐘楼が屋根を貫き、その上に据えられた大時計は、まるで時の終わりを告げるように、長きにわたり針を止めていた。





【 登場人物紹介】


カズヤ

探偵役の青年。観察力と論理的思考に長け、冷静に事件の本質を突く。まだ若いが、祖父であるアイゼンハワードの影響を強く受けている。


アイゼンハワード

元魔界貴族の将軍。人間の心理や歴史への造詣が深く、重厚な雰囲気をまとった“老いた賢者”。現在は隠遁生活を送っているが、事件には敏感。


クラウディア・ヴェルネ

屋敷の主。老齢の未亡人で、かつて侯爵夫人だった。莫大な遺産の保有者。穏やかだが、どこか人を寄せつけない。


レオン・ヴェルネ

クラウディアの孫。快活で社交的だが、その笑顔の裏に秘密を隠している様子。


イザベル・ヴェルネ

クラウディアの義娘。修道院時代に養子として引き取られた。静かで控えめ、屋敷に対して複雑な感情を抱いている。


マルク・ラグナス

時計技師であり今回の招待客の一人。修道院の大時計の修復に関わっていた。無口だが、機械と対話するような職人気質。


フロランス

メイド長。ヴェルネ家に三代に渡って仕える忠実な家臣。厳格で一切の無駄を嫌う。


エドゥアール

屋敷の執事。背筋を常に伸ばし、礼節を欠かさぬ人物。屋敷の裏表をすべて把握している。


ギヨーム

料理長。かつて王宮厨房にいたこともある実力派。だが最近は館の者たちに不信感を抱いている様子。


=======================


かつてこの地には修道女たちが暮らす修道院があったが、五十年前、不可解な失踪事件が相次ぎ、廃院。その後、貴族クラウディア・ヴェルネがこの土地と建物を相続し、屋敷として改築した。


しかし奇怪な噂は今なお絶えない。


深夜、誰も鳴らしていないはずの鐘が鳴る

無人の塔に灯る光

祈るような声が風とともに響く


やがて、馬車は屋敷の前に到着した。厚い扉が音もなく開き、古びた石畳の先

屋敷の門が静かに開かれた。


出迎えたのは、三代にわたってこの家に仕えてきたメイド長フロランスだった。白髪の隙間から覗く瞳は、鋭くも優しさを湛えている。


「アイゼンハワード様、そしてカズヤ様。ようこそ《聖ルクレール修道院跡》へ。現在は《ヴェルネ時計塔屋敷》と呼ばれております」


「立派な門構えですね」とカズヤは言った。


「でも……どこか冷たい感じがする」


「ここは、語らぬ者たちが多く残る場所です」


フロランスの言葉は、まるで意味深な祈りのように聞こえた。


屋敷内にはすでに何人もの親族たちが集っていた。



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