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【ランキング12位達成】 累計55万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワード国境警備録 ― 偽勇者掃討戦』

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第14話 黒幕の牙 ―暗殺者ヴォルゼア登場

沈黙。


リュドミラ本邸の奥、黒曜石のように光を吸い込む広間。

吹き抜ける風もない、音の一つさえ存在しない不気味な空間。


突如、空気が震えた。


「……“間”が変わった」

そう呟いたのはアイゼンハワード。


次の瞬間、影が地面から“浮き上がる”ように形を成し、音もなく人影が現れた。

仮面。双刀。黒装束。殺意すら“静寂”を纏っている。


挿絵(By みてみん)


スティル:「……なんだ、この気配……!?」


ヴォルゼアは、ただそこに“立っていた”。

まるで今までずっと、そこにいたかのように。


アイゼンハワードが剣を抜く。

スティルも拳を握り、ノルドは詠唱を始めようとするが、


「やめろ、ノルド」

アイゼンハワードが制する。


「その男の前で、声を出すな。術は通らん」


ノルド「ッ……!」


その瞬間、周囲の空気が変わった。

声が吸い込まれ、魔力の流れが鈍り、風さえ止まる。


《静寂界》

すでに、結界内だった。


ヴォルゼア「……愚か者どもが、また希望を語るか」


その声は機械のように冷たく、感情の抑揚がまるでない。


スティル「お前が……黒幕か?」

ヴォルゼア「黒幕? 違うな。私は“秩序”を執行する者。

“選ばれし者”による統治。それだけが、世界を保つ」


ノルド「“選ばれし者”を、自分で勝手に決めてる奴が一番危ないのよ」


仮面の奥で、ヴォルゼアの瞳が一瞬だけ光る。


「お前は“選ばれぬ者”だ。よって、価値はない」


次の瞬間、影が“跳ねる”。


ヴォルゼアの身がブレたかと思った瞬間、スティルの目前に立っていた。

反応したスティルが拳を突き出すが拳は、すり抜ける。


「……っ!?」

まるで“煙”のように、ヴォルゼアの身体は実体を持たないように動く。


アイゼンハワード

「“影走”。あれは……ただの暗殺者じゃない」


二振りの湾曲刀が抜かれ、空間が揺れる。

刃の放つ圧は斬撃ではなく、“沈黙そのもの”だった。


スティル「効かねえ……! ツッコミすら効かねえやつ初めてや……!」


ヴォルゼア「私は主の前に戻る。

ゼフィル様の剣が、“選別”を果たすだろう」


そう言い残し、ヴォルゼアの姿が影の中に“溶ける”ように消えた。


ノルド「……っ、どこ行った!? 消えた!? いや……“いない”!?!」


アイゼンハワード、仮面の消えた空間を見つめながら、低く呟く。


「……あれは、“意志”のない刃。

だが……それだけに、最も厄介な」


スティル「…意志のない剣って……まさか……」


ノルド「いよいよ……真打ち登場ってわけね」


静寂が戻る。だが、空気は、先ほどよりもさらに重く、冷たかった。

闇が、深くなる。


そして、決戦の時は刻一刻と迫っていた。



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