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【ランキング12位達成】 累計52万1千PV運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワード国境警備録 ― 偽勇者掃討戦』

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第11話 地獄のカウンター作戦

魔界・東部辺境自治区

デトロイトメタルシティ


夜が明けきらぬ空に、赤黒い煙が立ちこめる。

魔界の空に、爆発音が絶え間なく響いていた。


《リュドミラ家》が雇った傭兵団ブラッドクラウンは、魔導火砲と重装機兵を前線に配備し、村への直接攻撃を開始。

それに対し、アイゼンハワード率いる国境警備隊は


迎え撃つ準備を、完璧に整えていた。


ごぉおおん…!と、大地を割るような警報音。

村の地下にある避難壕から、最後の住民が誘導される。


アイゼンハワードは、村の広場にて《断罪ノ刃〈ギロティーナ〉》を肩に担ぎながら、眼下の戦場を冷ややかに見下ろしていた。


(……かつての戦争を思い出すな。わしの背後にはもう、誰も死なせぬぞ)


背後から、スティ・ゴルザックが巨槍を回しながら歩み寄る。


「合図をくれ、アル様。ヤツらまとめて吹き飛ばしてやらァ!」


その瞳には熱い闘志。幼き頃、命を救われた恩を胸に、今は戦友として立つ。


反対側からはノルド・ミルカが優雅に登場。

黒の戦装束に身を包み、魔道具の小箱を開く。


「前線指揮官の位置は特定済み。精神支配魔法も準備OK。

“心を折ってから焼く”って、最近の流行らしいわ」


さっちゃんは肩にちょこんと乗り、悪魔らしい不機嫌な笑顔で舌打ち。


「チッ…! 無差別砲撃しやがって、魔界ナメ腐ってんじゃないの?

ぶっ飛ばせ、アルおじ! 正当防衛って言っとけばなんとかなる!」


アイゼンハワードは静かに頷いた。


「よかろう。ならば、戦闘の開幕といこう。我ら魔族が、ただの“化け物”ではないことを教えてやろう」


【戦闘開幕】

敵陣前線。傭兵団ブラッドクラウン、陣形展開中。


突如、地面が爆ぜる。


スティの【衝破術・双連穿陣】が地面を貫き、前衛部隊が吹き飛ぶ。


「おらァああああああああっ!! 地獄のノック、二連発ッ!!!」


まるで彗星のような突撃。魔力を纏った大槍が次々と敵兵を薙ぎ倒す。

前線が、わずか十秒で崩れる。


後衛にいた指揮官格が何かを叫ぼうとしたその瞬間――


「あら、おしゃべりは禁止よ?」


ノルドの【夢魔術・心蝕結界サイレンス・ヘル】が発動。

言葉が、意志が、思考さえも封じられ、敵司令部は一瞬で混乱へ。


「これで数分。アル、今よ」


さっちゃんが叫ぶ。


「カウンター、いってやんな!!」


アイゼンハワードが、一歩、前へと踏み出す。


その瞬間、魔剣《断罪ノ刃〈ギロティーナ〉》が黒雷を帯びる。


「……これぞ裁きの剣。貴様ら、"血で商売をする者"に与える裁断なりッ!」


【必殺魔剣術・終末断章ギロティーナ・セヴンフォールド


七重の魔力刃が、空を裂き、地を割る。

傭兵団の魔導装甲ごと、戦線中央が一刀両断に消滅。


爆炎と悲鳴が轟く中、敵兵たちの戦意は崩壊寸前だった。


だがその時。


敵後方に、一際異質なオーラを纏った男が現れる。

背には、リュドミラ家の紋章を刻んだ外套。


銀髪、仮面。口元に笑みを浮かべるその男は、ただ一言。


「さすがは、“老害魔族”……やりおる」


その目は、明確にアイゼンハワードを“観察”していた。


アイゼンハワードの眉がピクリと動く。


「……あれが、《リュドミラ家》直属の密命将か。

顔を隠すのは、後ろ暗い連中の習性じゃろうが……」


さっちゃんが肩越しに耳打ちする。


「あいつ、“勇者学園”の理事にも名前あったわよ。リュドミラの汚れ仕事専門のエージェント。“スラヴァ・ドランベルク”ってやつ」


「ほう……次の標的、決まったようじゃな」


戦いの火蓋は切って落とされた。

この夜の戦いを境に、魔界と人間界の関係は、戦争の瀬戸際へと突き進むこととなる。


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