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完結【51万8千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワード国境警備録 ― 偽勇者掃討戦』

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第3話 偽勇者掃討作戦

魔界・国境前線要塞ヴォルフェンズ・スパイン


「では、作戦名は──《アルおじ式・偽勇者ゲリラ殲滅大作戦》でいこうか」


「ダセェ名前つけんなや!!」


会議室に鳴り響く、さっちゃんの鋭すぎるツッコミ。

白板にマーカーで書かれた作戦名の横に、ハートマークまで描いてあるのが腹立たしい。


「我ながらセンスを感じる。貴族的な優雅さと、現代風ポップさを両立した逸品ではないか?」


「“アルおじ”って自称してんじゃねぇよ。誰がタグ検索すんだよその作戦名」


「ふむ……それなら《コード:ヴァルハート》ではどうか?」

「突然イケメンぶるな」


部隊、続々と集結。偽勇者の不法侵入が続発する国境周辺。アルの号令で、各地から若き魔族や旧知の教え子たちが集まり始めていた。


「久方ぶりに、我が元へ集う弟子たちよ……。胸が熱くなるな」


「いいからクリーム塗る手を止めろ。話が脱線するだろうが」


そんな中、ゴォンッという地響きとともに扉が開く。


「アル隊長、ご命令、承りました。敵の骨を粉々にする準備は万端です」



スティ・ゴルザック

挿絵(By みてみん)

2メートル超の巨体。無愛想だが、見た目は筋肉彫刻。

種族:オーガ系魔族 役職:国境警備隊副隊長 武骨で無愛想だが、アルには敬意を持って接する筋肉派。 幼少期にアルに命を救われて以来、忠義を誓っている。 槍と魔法の複合型「衝破術」を使う。


「おお、スティではないか。相変わらず良い体つきだ。筋肉に話しかけたくなるな」


「……拝見できて、光栄です」

「ちょっと顔赤くなってるのキモいからやめて、マジで」←さっちゃん


続いて、ひんやりとした空気と共に、黒いスカートの裾を揺らして現れる女魔族。


「ふふ……呼ばれて飛び出た夢魔ナイトメアよ。今日も冴えてるわ、わたし」


ノルド・ミルカ

挿絵(By みてみん)

情報分析と心理戦を司る、国境警備の拷問参謀。

涼しい顔でアルにウィンク(片想い)を送るが、さっちゃんには秒でバレている。

種族:夢魔ナイトメア

役職:情報参謀官/拷問官 妖艶な美女。

冷静で分析力に優れ、敵を「心からへし折る」タイプの戦術官。



「……ノルド、アンタまたアイライン濃くなってんぞ」


「戦の前は気合い入れる主義なの」


「どうせアルおじに見せたくて必死なんだろ。はいはい片想い乙~」


「(聞こえてるぞ……)」


偽勇者掃討作戦、開始!

「隊長殿! 西の峡谷で“ハイパー勇者一味”と名乗る一団を発見!」


「貴族的には“ハイパー”という語の乱用に苦言を呈したいところだが……よかろう」


アルの合図で、各部隊が山岳・峡谷・魔樹の森の侵入ルートへ展開される。


スティの衝破術が岩を砕き、ノルドの幻術が敵を錯乱し、

さっちゃんの“痛烈な言葉の刃”が相手のメンタルに刺さる。


「なにこの防御……チートかよ!?配信映えしねぇ!!」


「うるせぇ! 魔界なめてんじゃねーぞ!」

「あと勝手にタグつけんな! “#ガチ死ぬかと思った”じゃねぇよ!!」←さっちゃん、実況コメ欄にブチギレ


捕らえた人間の偽勇者たちを尋問。


「なぜ貴様らは、こんな無謀な侵入を……?」


「だ、だって……金払えば《勇者証明書》っての買えるんだよ! ……Sランク保証付きで!」


「……なに?」


「しかも初回特典で“魔族に勝てる剣(※ただの鉄パイプ)”がついてくるんスよ! ネット限定で今なら半額──」


「……これはもう、脳を一度洗って差し上げた方が良いかもしれんな……?」


「ふふ……いいの? 洗浄なら、私が“優しく”やってあげてもいいけど?」←ノルド、ガチ笑顔


「うひぃいぃぃ!!」


尋問を終えたノルドが地図を広げる。


「証言によれば、勇者証明の配布は《人間界北部・アガスト市》を中心に行われてるわね」


「つまり、このビジネスは……組織的だな」


「だれかが意図的に、“魔界へ向かわせている”……」


「この情報、魔王陛下にも上げておいた方が良さそうね」


「うむ……スティ、ノルド、引き続き哨戒を頼む」


「はっ!」


「りょーかい♡……あ、アイゼン様? また紅茶、入れとくね……」


「さっちゃん、なぜかあの子が目を合わせてくれないのだが?」

「気のせいだ。あとハートマークつけて呼ぶな」


アルおじは一人、要塞の塔の上で魔界の星空を見上げていた。

手には修理された魔剣のギロティーナ、そして保湿クリーム。


「我が剣と、この滑らかな肌に……再び血と泥を浴びせるとはな……。貴族の仕事は、かくも過酷よ」


だが、彼の背後では、別の“人間の軍勢”が動き出していた。


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