第10話 魔界の地獄のネズミ、夢を売る
そして、次なる一手
「いい?次はね……この魔界に、夢のテーマパークを作るの!」
そう語るさっちゃんの背後に、そびえ立つ巨大な悪魔のネズミ像。
片目はルビー、もう片目は魂結晶。口元は不敵にゆがみ、爪の生えた手で子供たちを誘惑するように手招きしている。
「名付けて『悪夢のデビルパーク』!」
総工費:100億金貨!全額オールイン!
さっちゃんはまたもや借金を背負った。が、今回は違う。世界が、魔界が、そしてマスコミがざわついた!
魔界最大手テレビ局《魔鬼TV》速報!
「速報です!人間界の実業家・アイゼンハワード氏が、魔界最大規模のテーマパーク『悪夢のデビルパーク』を建設開始!
場所は旧・地獄砂漠跡地。かつて亡者の墓場と呼ばれた場所が、いま、子供たちの歓声に包まれています!」
ニュース画面の向こうでは、マスコットキャラ「魔ネズミ男くん」と子供たちがダンス中!
入口のモニュメントには巨大な悪魔のネズミが悪そうな顔で手招きする。
悪夢のデビルパーク
【主なアトラクションと名物】
①魂抜けかけ急降下
見た目はキュートな雲形のジェットコースター。しかし乗って3秒後には、魂がふわっと浮く感覚が!
※15歳未満の乗客は、回収員が待機しています。
②おいしくて死ねる!《バクダンチュロス》
一見チュロス、噛むとドカン!煙が上がり、ピンクのスライムが顔に飛び散る!子供たちは大爆笑。
③《ゾンビ・オブ・カリビアン》
ゾンビ船長が操るクルーズアトラクション。途中で乗客が「感染」し、出口ではゾンビの仮装を強制される。
「イヤアアア!」と悲鳴をあげつつ、みんなノリノリ。
④魔界定番《ぷるぷるスライム風船ワールド》
魔界のスライム型風船が天井に漂い、たまに落ちてくる。直撃すると、衣服だけが消える小悪魔仕様!
⑤禁断の《絶叫観覧車・輪廻ノ輪》
1周するたびに、前世・来世・来来世の記憶を垣間見る観覧車。
「ママ、あたし、前世おじさんだったー!」と泣き笑う子供たち。
⑥魔界版「It's a Soul World!」
小舟に乗ると、亡者の歌声で魂がほんのり抜ける癒しのアトラクション。
「ぬけかけ♡」レベルに調整されており、抜けすぎた人には即座に“蘇生シャワー”が降り注ぐというハイテクぶり。
「脳がとろける……」と利用者満足度99.9%!
⑦メフィスト夫人の「魂の館」
ご本人そっくりのホログラムが現れ、
「さあ、契約しようかしら?」と誘惑してくる闇のゲーム施設。
※サインしても魂は抜かれません(多分)
「わたくしの悪趣味が大爆発♡」と、本人も毎日巡回中。
⑧パレード『冥界☆ソウル・パレード』
夜になると、骸骨の楽団・ゾンビの踊り子たちによる、魂がうっすら浮かぶファンタスティックパレード!
さっちゃんはプリンセス風ドレスに身を包み、魔界王子様と共に先頭フロートで登場!
園内BGMは、地獄楽団による生演奏!
「ようこそ地獄の夢へ〜♪」と、冥界オーケストラによる陽気なサンバ調テーマソングが響き渡る!
エンディング・セレモニー
開園初日。夕日が血のように赤く染まるころ、ステージにはさっちゃんと、黒ドレスに身を包んだメフィスト夫人が並ぶ。
「さっちゃん、あなたはやっぱり狂ってるわ。最高よ!」
「このパークは、借金地獄の終着点……じゃなくて、夢の出発点です!」
観客、スタンディングオベーション!空には、爆発するチュロスによる花火が打ち上がり、魂がふんわり舞った。
魔界メディア大注目!!
『魔界日報』トップ記事
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