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完結【51万3千PV突破 】運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アル様とさっちゃんの経営塾~1年で100億金貨稼いで魔界アカデミー賞を獲る方法』

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第7話 魔界エンタメ進出!?超B級映画制作へ

魔界の地獄経済崩壊から数日。


「ダメだダメだダメだぁ!! 通帳が、燃えてる!? 燃えるのか!? 通帳って燃えるのかァァァ!!」


天を仰いで絶叫するアイゼンハワードの背後で、赤黒い雨が降っていた。株式の価値はほぼゼロ、会社の資産は地獄の労働監獄に押さえられ、ゾルゲ・ドルゲン総裁の笑い声が脳内エコー状態。


そんな地獄絵図の会議室で、ゾンビ秘書のルミラ・カデヴァが冷静にスクリーンを差し出す。


「こちら、“パイがパニック”の脚本です。2000年封印指定、読んだ者が三日三晩笑い死にしかけたという、あの伝説の超駄作。」


小刻みに震えながらも、アイゼンハワードは立ち上がった。


「よし……! これだ! 起死回生の手は、“映画”しかないッ!」


突然の方向転換にガブ郎がツノを傾ける。


「映画って……また借金増やすだけッスよ? だってこれ“超B級”どころか“マイナスZ級”ッスよ!? 主人公、パイが喋るだけじゃないスか!」


「だが、それがいい!」


自信満々に拳を握りしめるアイゼンハワード。どこからともなくプロデューサー用サングラスをかけ始めた。


魔界B級の映画プロジェクト『パイがパニック』発足!


「現場、入りまーすッ!」


第一撮影日、魔界スタジオ跡地。爆発の音が絶え間なく響き、クレーンカメラが火に包まれる。監督のグールは片目を失ったまま演出席に鎮座。


「おい、俳優の頭が取れたぞー! ……あ、それ仕様? よかったー!」


エキストラの怨霊たちは、セリフがないのに勝手にアドリブで泣き叫び、現場は文字通りの“地獄”。


そこに、静かにメイク室から登場したのは……


「……今日の役は、“パイに喰われる女”。本当に喰われるのかしら?」


メフィスト夫人だった。赤いドレスに生きた蛇を巻きつけ、カメラ前で優雅にポーズ。


「一発オーケーでいくわよ。あたし、やり直し嫌いだから。」


クランクイン初日:地獄のはじまり

「……うわあああああ! パイが!! 本当に追ってくるううう!!」


パイ役のCGエフェクトが暴走、亡霊俳優がパイに飲まれてゆく。


「うそでしょ!? なんでパイが爆発するのよ!!?」


さっちゃんがメガホンを握りしめ、叫びながら撮影監督の亡者にツッコむ。


その横で、アイゼンハワードは汗だくで叫んでいた。


「撮れ! 撮れ! 撮ってしまえ! これが“リアリズム”だァァァ!!」


「違うよ!? それ“事故”だよッ!! 演出でもなんでもないよッ!!」


撮影が進むほどに現場は混沌を極め、編集担当のデス・エディターが頭を抱えて叫ぶ。


「カット数だけで地獄の契約書一冊分ある!! 尺が7時間超えてるぞ!! これドキュメンタリーかよ!!」


挿絵(By みてみん)


完成試写会(出席者:亡者7名)

“バカすぎて、逆に笑える”

“精神が削れる”

“なんで最後、全部夢オチなんだよ!!”


そしてラストシーン。


パイの山に埋もれながら、アイゼンハワードが自ら演じた役がこう叫ぶ。


「……これは、借金ではない。投資だッ!!」


会場、謎のスタンディングオベーション。


さっちゃん、ため息をつく

「あのさ……なんでエンドロールに“魂の提供:地獄年金組合”ってあるの?」


「スポンサーがついたんだ! すごくないか!?」


「……終わってんな、この会社……」


ゾンビ秘書ルミラ・カデヴァがぽそっとつぶやいた。


「“続編”の脚本……もう届いてますよ。“パイがパニック2:パイの復讐”」


「クソ映画は続くんかい!!」


さっちゃんの声が魔界全体にこだました。



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