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【ランキング12位達成】 累計55万4千PV 運と賢さしか上がらない俺は、なんと勇者の物資補給係に任命されました。  作者: 虫松
『アイゼンハワードの魔族のおっさんはつらいよ』

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第5話 会社崩壊とゾンビM&A さっちゃんの錬金術

ゾンビ投資証券信託会社にて


「……あら、ちょっと、皆さん? 朝礼ですよ〜?」


午前9時、証券のオフィスに、パンプキンティーの香りが漂う。だが返事はない。返事どころか、人の気配がない。ゾンビ秘書・さっちゃん(脳みそはやや熟成気味)が首を傾げながら社内を歩くと……


「う〜〜ん……ブレイクイーヴン……」

「ROE……ROE……エーローエーロー……」

「ぐおお……利回り高杉ィ……!」


社員全員が完全ゾンビ化していた。顔は青白く、目は虚ろ。みんながエクセルのマクロで“脳みそ”をシュレッダーしてしまったらしい。


「うわ、なにこれ!? 終わったじゃん! わたしの部下、全員あたまパーだよ!?!?」


さっちゃんは焦る。なぜなら来週、地獄金融庁の監査が入るのだ。数字だけは合っていても、社員が全員ゾンビでは「労務的にアウト」である。


暴走するゾンビ秘書

「ええい! もうこうなったら……!」


さっちゃんは社内のクレーム処理AIを魔改造し、ゾンビ社員を強制労働させる「ゾンビ会計RPAシステム」を開発。これがとんでもない精度を発揮し、

死んでもミスらない会計処理が実現。


だが


「おい! さっちゃん! 社員の首、取れてんぞ!!」

「大丈夫! 経理は手だけ動けばいける!」


阿鼻叫喚の中、上司のアルが現れる。


アル、会社売却を決意

「さっちゃん、これはもう無理だ。会社ごと売るぞ」


「へっ……売るって、どこに?」


「地獄界のM&A仲介会社、《魔界マッキンゼー》だ」


そして開かれた、地獄業界初のゾンビ企業向けM&A会議。

さっちゃんが取り出したのは


「悪魔の株式証券です! 株式1口につき、チョコ1個無料!」


これに魔界企業の投資家たちがざわめく。

「チョコが無料!? しかも脳みそ熟成済み!?」

「この秘書……やり手だな……!」


彼女はこのチョコで株を吊り上げ、ゾンビ企業の株価を地獄最高値まで膨張させた。

さながら、魔界式のアベノミクス。

いや、もはや「さっちゃんノミクス」である。


そして


「売却完了です! 買収額は……3000万金貨!」


「おい……マジかよ」


会社がゾンビ化して破綻しかけたところから、逆に一夜で1200億の利益。

これぞ“死を超越した錬金術”。


M&A会場の裏で、ゾンビ社員たちは何もわからず天井を見つめていた。


「う〜〜ん……デューデリジェンス……」

「ん〜〜〜財務諸表……うまそ……」


さっちゃんは鼻歌交じりに言った。


「ま、いっか♪ 会社ひとつくらい売れても、わたしが本体だし♡」


その背後、アルの顔は引きつっていた。


「(さっちゃん……お前、マジで何者なんだ……)」


しかし世の中チョコのように、そんなに甘くはなかった。


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