第5話 罪深い人たち
塔の入り口で彼らを待ち受けていたのは
それはただのモンスターではなかった。
塔の前で重々しい蹄の音と咆哮が響き渡る。
現れたのは、牛と人間が悪魔儀式により融合した獣人・ミノタウルス。
そしてもう一体、馬と人間が悪魔儀式により融合した怪異・ブーケバロスだった。
名前:ミノタウルス
体力:1800
攻撃:750
防御:240
素早さ:300
この世界で、牛と人間が合わさったモンスター巨大な角で蹂躙する。
名前:ブーケバロス
体力:2000
攻撃:700
防御: 310
素早さ:450
この世界で、馬と人間が合わさったモンスターその鋼の如き蹄で地を割り、敵を踏み潰す災厄。
戦闘開始!
塔の前、風が止み、静寂が訪れる。
だが次の瞬間、ミノタウルスが地面を砕く勢いで突進!
ミノタウルスは低く構え、大角を突き出しマーリンへと迫る!
「グオオオオォォーー!!」
角で貫く体制になったミノタウルス
(わたくしに突進だなんて…野蛮なこと)
「……牛はミディアムレアが好きよ♡」
そう呟いた瞬間、マーリンの足元に闇の魔法陣が展開される!
「深淵の底より目覚めし黒き龍よ封ぜられし煉獄の鎖を今、断ち切れ!
闇と炎の契約によりて、我が魔力に応えよ!」
「呑み込め、焼き尽くせ、全てを灰に黒龍獄炎爆裂!!!」
轟音とともに地の底より黒き龍が召喚される!
その咆哮は空を裂き、口から吐かれるのは業火の地獄炎!
ドォォォォォン!!!
一瞬で周囲が灼熱の爆裂炎に包まれ、ミノタウルスが悲鳴を上げる!
「ウボアアアアアアア!!!」
焦げた肉のにおいと共に、ミノタウルスは黒い塊となって崩れ落ちた。
「あー、わたくしとしたことが真っ黒コゲ……焼き加減、失敗ですわ」
だが、戦いはまだ終わらない。
ブーケバロスがグレイス・オマリーに突進!
「ヒヒィィィィン!!!」
潰す……全部潰す!!という勢いでグレイスオマリーひずめを真上から振り下ろす。
「馬なんてねぇ、海賊の敵にゃならねぇのさ!」
跳ね上がる巨大な蹄をギリギリで避け、
グレイスはアンカーロープを振り抜いた!
必殺技:アンカーロープ(碇をしめる)
縄は唸りを上げて飛び、ブーケバロスの首に巻きつく!
「大人しくなりな、お馬ッちゃん!」
グキキキキ――ッ!
縄を引き締めると同時に、ブーケバロスの首が180度回転し、
その巨体がひっくり返って地面に沈む――!
「ギ……ギィイイィィィ……!」
戦闘終了
静寂が戻り、灰煙が風に流れていく。
パーティー全員のレベルが1上がった。(※ただしマーリンを除く)
「お宝はどこだーーッ!!」
グレイスは、そう叫んで、塔の中へと駆け込んでいく。
「ちょっと! 待ちなさいよ、わたくしの獲物分も残しておきなさいってば!」
マーリンがヒールを鳴らしてその後を追いかける。
そして最後に残ったシスターマリアが、
空を見上げて小さく手を合わせる。
シスター・マリアが祈る。
「神よ……罪深き者たちに、どうか慈悲を……」
俺と勇者アルベルトはシスターマリアの祈る姿を眺めていた。