第2話 魔界スイーツ宅配「出前RUN」本格始動!
■ 魔界の廃工場前
「なぁ……お前ら、配達やりてえって言ったよな?」
仁王立ちするさっちゃん。その背には燃える情熱、前にはうさんくさく燃え尽きたバイク乗り伝説の魔族暴走族“爆走三途川”元副隊長、ガブ郎。
背中の刺繍には《魔族愚連隊 無頼愛》の文字。そして肩にはスイーツ柄のパッチワーク。「なぜそれを……」とガブ郎が震える。
「お、俺はな……あの“地獄八の字グリップ走法”を完成させた男だぜ?宅配便とかナメんなよ……甘さは俺の辞書にねぇ!」
「じゃあ今なにやってんのよ」
「……あ、あの、鬼瓦修理とか……夜は……夜の焼き芋屋とか……」
「不安定にもほどがあるわーーーっ!!!」
バチーーーン!
さっちゃんの回転張り手(※ギアチルドレン流・愛の鉄拳)が炸裂!ガブ郎、華麗に壁ドン。地面に“阿”と“吽”の型が残る。
「聞けガブ郎!!アンタの“爆走スキル”は、今の魔界に必要なのよ!!スイーツはな、とろける前に届けないと冷えるの!!つまり、速さは命ッッ!!!」
「は、速さ……は、命……!!」
「しかもアンタ、初対面でメロンパン投げたくらい口悪いでしょ?それ、接客に活かすの!!」
「口悪いのが武器に!?」
「武器にするの!罵倒と甘味の二重構造が魔界トレンドなの!」
「それ絶対流行ってないだろ!?」
「大丈夫、私が流行らせるから!!!」
「鬼ィィィィ!!!」
そして渡されたのは、さっちゃん特製ジャケット
背中に《甘党特攻隊》、刺繍でフワッフワのショートケーキ。袖には「魂より甘さを大事に」の刺繍入り。
ガブ郎、震えながら袖を通した。
「……甘い……この服、なぜか甘い香りがする……てか柔軟剤効きすぎじゃね……?」
魔界スイーツ宅配センター(仮設)完成!
「準備完了だ!いけガブ郎!!地獄坂を突破してこい!!」
「ラジャァッス!!!!!」
ゴゴゴゴ……ッ!
バイクが唸りを上げる。背中の配送ボックスに、マカロン・毒々ベリータルト・チョコミントドラゴンなど、魔界スイーツを搭載!
「届けこの甘さ、地獄の果てまで!!!」
爆音を響かせながら、ガブ郎は爆走した!
数日後:魔界カスタマーからの声
「届けに来た兄ちゃん、悪態ついてたけど、スイーツは最高だったわ!また頼む!」
「“お前の口が甘味を欲している”とか言ってマカロン投げてきたけど、うまかったわよ!」
「配達後、号泣して『これが俺の第二の人生ッ…!』って叫んでた。感動した……」
ガブ郎の仲間たち、続々参戦!
かつての爆走三途川メンバーたちもスカウト成功。
キャンドル火炎姐さん(“熱すぎるチーズケーキ”専門)
クラクション鬼次郎(スイーツと一緒にホラー演出込みで届ける)
トゲタンク田吾作(爆走しながらプリンを守る技術に定評)
「俺たち……スイーツで、生き返ったんだ……!」
「爆走よりも……マカロンが熱いなんて……!」
魔界スイーツ宅配「出前RUN」大・爆・走!
アルは机に向かい、真顔で「最短配達ルート分析図(甘味最適化ルート)」と書かれた地図を睨んでいた。
「このルートは……一見遠回りだが、3.2秒速い……!」
「アル様、働き方がガチすぎるのよ!ちょっと休んで!」
「だが、スイーツは……命だ」
「そのセリフ、元暗殺者の言い方じゃないの!!」
そして……!
初月売上:500万金貨
魔界トレンドワード:「甘味無頼」
出前RUNは、魔界スイーツ出前業界で革命を起こした。
さっちゃんは言う。
「ビジネスはね、愛と糖と……少しの暴走でできてるの!!」
アルは言う。
「私はもう後戻りできん……マカロンと魂を秤にかけたこのビジネスに……」
「アル様!!もう戻る気ないわよね!!!」
二人は借りた金を返しに行くわよ!とメフィスト夫人の元へ行くのだった。




